夫婦で家計を分担する際に「何が公平か?」という問いは非常にデリケートです。特に年収差がある場合や、育児や家事の負担割合によって「金額の平等」が「家庭内の公平」につながらないこともあります。この記事では、年収差がある共働き夫婦の家計分担について、実例を交えながら解説していきます。
共働き家庭の家計分担、よくある3つのパターン
共働き夫婦の家計分担には、主に以下の3つの考え方があります。
- 完全折半型:生活費を50:50で分担。年収差が小さい家庭で採用されがち。
- 収入比率型:年収に応じて分担比率を変える。年収差がある家庭に多い。
- 一方負担型:どちらか一方が主に支出を負担し、もう一方は貯蓄や生活補助など別の形で貢献。
この中でも「収入比率型」は、年収差のある家庭では最も公平感が得られる手法です。精神的なストレスや不満を軽減しやすい特徴があります。
実例で見る収入比率型の分担例
今回のケースでは、夫の年収が600万円、妻が250万円程度。合計年収850万円のうち、夫が約70%を占めています。仮に月の支出が25万円であれば、その70%である17.5万円を夫、30%の7.5万円を妻が負担する形が「収入比率型」の理想的なバランスとなります。
ただし、夫が外食費・旅行費・貯金などをすべて賄い、妻が生活費の一部を負担しているようであれば、すでに実質的に夫が70%以上を負担している可能性があります。
「金額」より「役割」のバランスも重要
家計分担は「金額」だけでなく、「育児」「家事」など目に見えない労働とのバランスも無視できません。もし妻が家事・育児を多く担っている場合、その分は経済的貢献と同等と見なされるべきです。
たとえば、保育園の送迎や日常の子どものケア、家の掃除・洗濯・料理などが妻の負担であれば、それだけでも多大な労力です。その労働を「家計への貢献」と捉える考え方も非常に重要です。
貯金の有無や管理方法にも目を向けよう
「妻が貯金をしていない」という点が気になる場合は、家計全体での貯蓄計画を夫婦で共有しておくことが効果的です。たとえば、毎月の共同貯金額を決めて二人で積み立てる形や、夫が主に貯金を担う代わりに妻は生活費をカバーするなど、バランスを取る工夫が求められます。
また、将来の教育費や住宅ローン返済など、長期的な視点で家計を見直すことで、「今の貯金ゼロ」が必ずしも問題とは限らない場合もあります。
夫婦間での対話が最も大切
最終的に重要なのは、お互いの価値観や不安を尊重し、対話する姿勢です。「なぜ今の負担割合が納得できないのか」「妻はどのような視点で家計に関わっているのか」を、冷静に話し合う場を設けることが健全な家庭運営に繋がります。
感情的になる前に、数字と状況を整理し、まずは事実ベースで共有し合うことで、納得感のある家計運営が実現しやすくなります。
まとめ:バランスは「数字」だけでなく「役割」も考慮しよう
夫婦の家計分担において大切なのは、単純な数字の公平さだけでなく、「役割」「状況」「将来設計」をふまえたバランスです。
今回のように年収差がある場合は「収入比率型」での家計分担を基本にしつつ、家事や育児、精神的なケアといった目に見えない貢献にも目を向けて、対話の中で納得できる家計運営を目指しましょう。
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