お子さんが一時的に無職になるため扶養に入れたいが、その間にアルバイトをする場合、どのくらいまでの収入なら扶養に影響しないのか——これは非常に実務的で悩ましい問題です。特に「扶養=年収103万円以内」と言われる中で、1ヶ月だけのケースはどう判断されるのか?本記事では、扶養の仕組みと1ヶ月間の収入制限の考え方を詳しく解説します。
扶養の2種類:税法上の扶養と社会保険上の扶養
扶養には大きく分けて2種類あります。
- 税法上の扶養:所得税・住民税に影響(年末調整や扶養控除)
- 社会保険上の扶養:健康保険や年金の加入・保険料負担に影響
今回のように1ヶ月だけ扶養に入れる話の場合は、社会保険上の扶養の条件を中心に考える必要があります。
社会保険の扶養は“年収見込み”で判断される
社会保険における扶養の判定は「年間の見込み収入が130万円未満(60歳未満または障害がない場合)」であることが原則です。
ただし、1ヶ月だけ働く場合でも、その月の収入から年収換算した金額で判定されることが多いのです。
つまり、1ヶ月で11万円稼ぐと「11万円 × 12ヶ月=132万円」で年収換算され、「扶養に入れない」と判断される可能性があります。
1ヶ月だけのアルバイトでも要注意なポイント
1ヶ月間で収入が高くなりすぎると、仮に翌月から無収入だったとしても、“年収130万円超の見込み”があると見なされることがあるため注意が必要です。
実務的には以下のラインを意識しましょう。
- 1ヶ月のバイト収入:108,333円未満(→年収換算で130万円未満)
- 交通費も含めた総支給額で判断
- 勤務期間・今後の就労予定も申告が必要
一時的な収入であっても、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)の判断によっては扶養不可になる可能性もあります。
扶養に入るなら“事前に相談”が鉄則
実際に社会保険の被保険者(親など)の勤務先にある保険担当や、加入している健康保険組合に事前に相談することが重要です。
「1ヶ月だけのバイト収入で扶養判定はどうなりますか?」と聞けば、実務上の判断基準や必要書類(雇用契約書や収入見込証明など)も教えてもらえます。
税法上の扶養は基本的に年間で判断される
一方で、税法上の扶養(所得税・住民税)に関しては、あくまで年間収入103万円以下が目安になります。
そのため、1ヶ月だけ働く場合でも年間で103万円を超えなければ、税法上の扶養控除の対象にはなります。
ただし、「収入=給与所得」であることや、「給与所得控除後の金額が38万円以下」などの条件も忘れず確認しておきましょう。
まとめ
お子さんを一時的に社会保険の扶養に入れる場合、1ヶ月間のバイト収入であっても年収換算されるため、収入は月10万円前後までに抑えるのが現実的な目安です。
判断に迷う場合は、加入している保険組合や会社の総務担当に相談し、「収入見込みでの扶養可否」を確認することが確実です。
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