相続財産を公平に分けるには?自宅・土地・アパートを4人で売却した場合の相続税と注意点

税金

相続財産に不動産が含まれている場合、「どう分けるか」「誰がどれだけ負担するか」で揉めやすくなります。とくに売却を前提とした場合、現金化されることで一見シンプルに見えますが、税務上の扱いや実務には注意点があります。この記事では、自宅・アパート・土地を相続し売却するケースで、4人の相続人が公平に負担できる方法とその考え方について解説します。

相続税は誰がどれだけ支払う?基本的な仕組み

相続税は「もらった財産の額」に対して課税されます。つまり、4人で等しく2,000万円ずつ相続するのであれば、原則として同額の相続税が課税されます。ただし、相続税には基礎控除があり、「3,000万円 +(600万円×法定相続人の数)」までの遺産には課税されません。

4人相続人がいる場合、基礎控除は5,400万円。これを超える部分(8,000万円 – 5,400万円 = 2,600万円)が課税対象となります。これを各人の相続額に応じて按分します。

自宅に相続人が住んでいる場合の注意点

自宅にすでに一人の相続人が住んでいる場合、その人に対して「小規模宅地等の特例」が適用される可能性があります。これは、330㎡までの自宅敷地を最大80%評価減できる制度で、相続税を大幅に軽減できます。

ただしこの特例は「持ち分を取得し、かつ引き続き居住する」ことが条件です。売却を前提とした場合はこの特例が使えないこともあるため、税理士と相談のうえ対応しましょう。

相続税を平等に負担する方法

「4人で対等な課税」にするには、遺産分割協議で公平な持ち分割合を取り決めたうえで相続するのが基本です。その上で、売却収益を均等に分配すれば、相続税と所得税のバランスが取れやすくなります。

実務的には次のような流れが望ましいです。

  • 不動産評価額を明確にする(固定資産税評価額や路線価など)
  • 4人の相続割合を決定する
  • 不動産を共有名義で相続する
  • 売却後に代金を相続割合で分配する

共有名義の相続はデメリットもあるため、信頼関係のある相続人同士で行うのが前提となります。

売却後の税金にも注意:譲渡所得税

相続税とは別に、不動産を売却した際には「譲渡所得税」がかかります。これは、「売却価格 – 相続時の取得価額 – 諸経費」がプラスになった場合に課税されます。

相続の場合、取得価額は被相続人が取得した金額ではなく、相続税評価額をもとに計算されるため、売却価格が相続税評価額を上回っていれば課税対象になります。

なお、相続後3年以内の売却であれば「取得費加算の特例」によって相続税の一部を取得費に加えることができ、譲渡所得を圧縮できます。

税額シミュレーションの実例

たとえば、以下のようなケースを仮定します。

  • 総遺産:8,000万円
  • 法定相続人:4人
  • 各人の相続額:2,000万円
  • 基礎控除:5,400万円
  • 課税対象:2,600万円 ÷ 4 = 650万円

この場合、各人は650万円に対して10%〜15%程度の税率が適用されます(条件により異なる)。概算で65〜97万円前後の相続税負担が想定されます。

まとめ:公平な相続のためには事前の準備が鍵

不動産を複数人で相続し、売却する場合は税務・評価・名義などに配慮する必要があります。特に「居住している相続人がいる」「売却後に平等に分けたい」という意向がある場合は、税理士や司法書士への事前相談が重要です。

相続は分け方次第で税金が大きく変わるため、「売却前にどう相続するか」が最も重要なポイントとなります。公平に課税され、トラブルを防ぐためにも、専門家のアドバイスを受けながら分割方針を検討しましょう。

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