厚生年金の等級と控除額のしくみを徹底解説|手取りが減る理由とその対策とは?

税金、年金

社会人になって給与明細を初めてしっかり見るようになると、「なぜこんなに引かれてるの?」「同期より手取りが少ないのはなぜ?」と感じる人も少なくありません。特に厚生年金は控除額が大きいため、その仕組みや算定方法を正しく理解することが重要です。

厚生年金の保険料は「標準報酬月額」によって決まる

厚生年金の保険料は、実際の月給額ではなく、「標準報酬月額」という枠に基づいて決定されます。これは給与(基本給+手当など)の総支給額を一定の幅で区分けし、その等級に応じて毎月の保険料が決まる仕組みです。

たとえば、標準報酬月額が26万円なら等級20に該当し、月額保険料は本人負担分だけで約2万3千円~2万5千円前後になります(2024年度基準)。会社と折半するため、実際には倍額が納付されていることになります。

通勤手当や残業代も保険料計算に含まれる

「通勤手当は実費だから関係ない」と思われがちですが、厚生年金の標準報酬月額を算定する際には、通勤手当・住宅手当・残業代なども含まれます。

そのため、たとえ基本給が同じでも、手当の違いで数千円の差があれば標準報酬月額が1ランク上がり、結果として等級が上がり控除額も増えることがあります。これは年金制度上のルールであり、不公平ではなく制度に則った結果です。

「等級が高くて損」ではない理由

等級が高くなる=保険料が増える=損、と思ってしまいがちですが、これは誤解です。厚生年金は将来の年金額に反映される「積立型要素」があるため、今多く払うことで将来もらえる年金も増えます。

実際、厚生年金に加入している人の老齢年金の平均受給額は国民年金の約2倍以上と言われており、保険料負担と給付水準のバランスは一定取れています。

同期より手取りが少ない理由とその対策

わずかな通勤手当などで等級が上がり、厚生年金の控除額が変わった場合、手取りに数千円の差が出ることはあります。これは一時的なもので、6月~9月に実施される「定時決定」(標準報酬月額の見直し)で、再度調整される可能性もあります。

もし今後も手取りを増やしたいなら、以下のような工夫が有効です。

  • 非課税の福利厚生(食事補助・社内ポイントなど)の活用
  • 通勤手当の見直しや定期代購入の工夫
  • 副業やつみたてNISAによる収入の多角化

単に「控除額が多い」と悲観するのではなく、「その分将来の備えになっている」と前向きに捉える視点も必要です。

等級表と給与額の対応を確認してみよう

実際に自分の等級が適正かどうかを知るには、厚生労働省が公表している「標準報酬月額等級表」を見ると分かりやすいです。2024年度版の一部抜粋を以下に示します。

等級 標準報酬月額 報酬月額の範囲
19 24万円 23万5千円以上~25万5千円未満
20 26万円 25万5千円以上~27万5千円未満
21 28万円 27万5千円以上~29万5千円未満

たとえば、基本給25.8万円+通勤手当2,000円=26万円ちょうどなら、等級20に該当し、正しい算定になります。

まとめ:厚生年金の控除額は“将来への投資”と理解しよう

厚生年金の等級や控除額に疑問を感じるのは自然なことですが、その仕組みはルールに基づいたものであり、「多く引かれて損」ではありません。等級が上がることで将来受け取れる年金額も増え、老後の安心につながります。

短期的な手取りに目が行きがちですが、長期的視点で制度を理解し、できる備えをしていくことが大切です。給与明細をきっかけに、社会保障への理解を深めてみましょう。

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