後期高齢者医療制度は75歳以上の方が対象となる公的医療保険制度ですが、「保険料が高い」と感じている人も多いのが実情です。収入が限られる高齢世帯にとって、この負担感は決して軽くはありません。本記事では、なぜ保険料が高く感じられるのか、その仕組みや軽減策、制度の背景についてわかりやすく解説します。
後期高齢者医療制度とは?基本をおさらい
後期高齢者医療制度は、75歳以上の方(または65歳以上で一定の障害認定を受けた方)が加入対象となる医療保険制度です。保険者は都道府県単位で設置された「後期高齢者医療広域連合」で、各市町村が窓口業務を担います。
制度の目的は、高齢者医療の安定的な運営と公平な負担の確保ですが、その一方で「自己負担が重い」と感じる声が少なくありません。
保険料の仕組み:なぜ高く感じるのか
後期高齢者医療保険料は以下のような2つの要素で構成されます。
- 均等割額:すべての加入者に一律にかかる金額
- 所得割額:前年の所得に応じて加算される部分
このため、年金収入やその他の所得がある方は「所得割」が上乗せされ、結果的に保険料が年間8万円〜12万円程度になることもあります。
保険料が高いと感じる背景にある現実
高齢者の多くは、現役時代より収入が減っている一方で、医療の利用頻度は増加傾向です。制度上、医療費の自己負担割合は1割(一定以上所得者は2割または3割)に抑えられていますが、その分、保険料負担にしわ寄せが来る構造となっています。
特に年金収入が180万円以上の単身者や、世帯で年間収入300万円以上の家庭では所得割が大きくなりやすい傾向があります。
軽減措置・減免制度の活用方法
各自治体では所得に応じた保険料軽減制度を設けています。主なものは次のとおりです。
- 7割・5割・2割軽減:前年の所得が一定以下の世帯に対して均等割額が減額
- 保険料の減免制度:災害・失業・大幅な収入減少など特別な事情がある場合
- 年金天引きでなく口座振替にすることで柔軟な支払いが可能
軽減の判定は「世帯単位」で行われるため、同居している家族の所得も関係してくる点に注意が必要です。
保険料を抑える工夫やアドバイス
・可能であれば、前年の収入を一定以下に抑えることで翌年の軽減対象になる場合があります。
・地方自治体の独自軽減制度や支援制度を確認しましょう。多くの市区町村のホームページに記載があります。例:東京都 後期高齢者医療制度[参照]
・生活に困難がある場合は、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談して、福祉制度の併用を検討するのも一つの手です。
まとめ:保険料の高さは制度の構造に起因。制度理解と軽減策の確認を
後期高齢者医療保険料は、現行の医療制度の構造的な要因である程度高額になる仕組みになっています。しかし、軽減制度や減免措置をうまく活用すれば負担は抑えられる可能性があります。収入状況や家族構成に応じて、地域窓口での相談や制度の見直しをぜひ検討してみてください。
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