装具(コルセットや義足など)の購入に伴う療養費払い戻しは、健康保険制度の大切な給付の一つです。ですが、申請手続き中に会社を退職してしまった場合、「申請は無効になるのか?」「再申請が必要?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、申請中に社会保険から脱退した場合の取扱いや対処法について詳しく解説します。
装具費の払い戻しとは?対象と申請の流れ
装具費の払い戻しとは、医師の指示に基づき装具(義肢、コルセット、サポーターなど)を購入した際、その費用の一部または全額が健康保険から返金される制度です。通常、以下の流れで申請します。
- 医師の装着指示書をもらう
- 装具を購入し、領収書を取得
- 健康保険組合または協会けんぽに「療養費支給申請書」を提出
- 審査後、銀行口座に払い戻し
この手続きには通常2〜3か月ほどかかるため、その間に退職するケースも珍しくありません。
退職中でも払い戻しは受けられるのか
基本的に、装具の購入日や診療日が在職中であれば、その時点で被保険者資格があるため、退職後に申請しても払い戻しの権利は有効です。
例えば、6月中に装具を購入し7月1日に退職した場合、6月分の健康保険に加入していた記録があれば、退職後でもその保険に対して申請を行えます。
ただし、申請先は「退職時点で加入していた健康保険」に限られます。転職先での再申請はできません。
申請中に退職した場合の注意点と対応方法
すでに申請書類を提出している状態で退職した場合も、通常は審査が継続されます。ただし、以下の点に注意してください。
- 加入していた保険組合が退職後の本人住所を把握しているか
- 口座情報などに変更がないか
- 追加書類の郵送先が確保されているか
健康保険組合によっては、退職後の確認連絡が届かずに申請処理が止まるケースもあるため、必ず電話などで「退職後も審査を進めているか」を確認しましょう。
任意継続・国民健康保険に移った場合の再申請の可否
退職後に任意継続や国民健康保険に加入したとしても、「新たな保険への再申請」はできません。あくまで、装具を購入した時点で加入していた健康保険組合が対象になります。
そのため、申請書の送付先や問い合わせ先も、旧勤務先の保険窓口か健康保険組合となります。
実際の例:退職後でも払い戻しを受けられたケース
例:Aさんは5月20日にコルセットを購入し、6月15日に退職。その後、7月上旬に療養費申請書を旧勤務先の健康保険組合に郵送。2か月後に装具費の8割(約12,000円)が指定口座に振り込まれました。
このように、装具購入時に資格があれば、退職後でも確実に払い戻しを受けられます。
まとめ:装具費の払い戻し申請中に退職しても諦めなくてOK
装具の払い戻し申請中に退職しても、装具購入時に社会保険に加入していた事実があれば、原則として給付は受けられます。大切なのは、「その申請がどの保険に基づいて行われたか」を確認し、退職後も連絡が取れるようにしておくこと。
トラブル回避のためにも、退職前後には保険組合や人事担当へ確認し、口座や住所変更などの申請情報を最新に保っておくと安心です。
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