近年では、共働き世帯において妻の収入が夫を上回るケースも増えてきました。しかし、家庭内の金銭的なパワーバランスや配偶者の気持ちに配慮しながら、収入差をどう扱うかは悩ましい問題でもあります。本記事では、児童手当や収入の扱いについて制度的な観点から丁寧に解説します。
児童手当は「所得が高い方」に支給される仕組み
児童手当は、所得が高い親の口座に支給されるのが原則です。自治体への申請時に扶養義務者の収入証明を提出することが求められ、原則として夫婦どちらかの「所得の高い方」に振り込まれます。
ただし、共働き家庭で育休中など一時的に所得が低くなる場合には、初年度はその年の所得が低い配偶者を申請者とすることが認められています。
翌年以降に「所得が逆転」した場合の取扱い
2年目以降に所得が逆転すると、原則として児童手当の支給者(受給者)も変更する必要があります。多くの自治体では、住民税課税情報の照会によってこの逆転を把握し、必要に応じて連絡が届きます。
つまり、自治体側で収入差が確認されれば、申請者変更の依頼が届く可能性があるため、「隠し通す」のは現実的ではありません。
パートナーに収入を過少申告することのリスク
家庭内で年収を200万円ほど過少に申告している場合、パートナーとの信頼関係に影響する可能性があります。さらに、金融商品の契約や住宅ローン審査などで、収入証明が必要になった際に矛盾が生じる恐れもあります。
たとえば、住宅ローンの連帯保証や連帯債務者となる際、正確な収入情報が求められ、隠していた年収が明るみに出ることもあります。
家庭内の収入格差をどう扱うか
収入格差をどう扱うかは、各家庭の価値観によるところが大きいですが、相手に「収入でマウントを取られるのでは」と感じさせない配慮も重要です。
例として、「家計は折半にする」「使途を分けて各自の財布を確保する」「貯蓄は共同で行い、管理は明確化する」といった方法があります。
扶養控除や税制上の注意点も忘れずに
共働き家庭での収入差が大きくなると、配偶者控除などの対象外になる可能性があります。たとえば年収が201万円を超えると「配偶者特別控除」の上限を超え、税金面での優遇が減ります。
また、自治体によっては児童手当の「特例給付」(年収制限を超えると月額5,000円に減額)も影響するため、定期的に所得見込みを確認することが大切です。
まとめ:収入差は隠すよりも上手にマネジメントを
児童手当の仕組みや収入差の取扱いについて、制度上は「隠す」ことが難しいのが現実です。そのため、無理に隠すよりも、夫婦間で話し合い、家計の運営やお金の価値観をすり合わせることが、より良い関係を築く近道です。
相手を配慮しつつも、正しい知識をもとにマネーライフを共に築いていきましょう。
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