会社を退職・再就職すると、年金、健康保険、住民税、確定申告といったお金と制度の話が一気に複雑になります。特にこれまで会社任せだった方ほど、書類の多さに戸惑いや不安を感じがちです。本記事では、社会保険と国民制度を行き来したケースを想定し、制度ごとに整理しながら全体像をわかりやすく解説します。
まず全体像を整理する:社会保険と国民制度の切り替え
会社員として働いている間は、厚生年金と会社の健康保険(社会保険)に加入し、保険料や税金は給与から天引きされます。一方、退職すると自動的に社会保険は外れ、自分で国民年金と国民健康保険に加入し、納付書で支払う必要があります。
再就職して社会保険に入れば、その期間は再び会社任せになりますが、切り替えのタイミングごとに「支払うべきもの」「精算が必要なもの」が発生します。ここを理解することが混乱を防ぐ第一歩です。
住民税は社会保険と関係なく支払うもの
住民税は、前年の所得をもとに課税される税金です。そのため、今年退職して無職や再就職になっても、前年に働いていた分の住民税は原則として支払う必要があります。
会社員のときは給与天引き(特別徴収)ですが、退職すると自治体から納付書が届き、自分で支払う普通徴収に切り替わります。その後、再就職しても、その年度分の住民税は引き続き納付書で支払うケースが多く、社会保険に入ったからといって自動的に不要になるわけではありません。
国民年金・国民健康保険の納付書の考え方
国民年金と国民健康保険は、加入した月ごとに保険料が発生します。6月や10月に加入した際に届いた納付書は、その加入期間分の支払いに使います。
途中で社会保険に切り替わった場合、その月以降の国民年金・国民健康保険は原則不要になります。もし納付書が届いていない、または内容が不明な場合は、市区町村役場や年金事務所に確認すると、未納・過払いの有無を整理できます。
年末調整をしていない場合は確定申告が必要になる
年末調整は、会社が従業員に代わって1年分の所得税を精算する仕組みです。年内に退職し、再就職先で年末調整をしていない場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告では、源泉徴収票をもとに1年間の収入と税額を計算し、払い過ぎた税金があれば還付され、不足していれば納付します。医療費控除や社会保険料控除もここで反映されるため、結果的にお金が戻るケースも少なくありません。
今からやるべき具体的な整理ステップ
まず、手元にある書類を「年金」「健康保険」「住民税」「給与・税金」に分けて整理します。次に、市区町村役場で国民健康保険と住民税の状況、年金事務所で国民年金の納付状況を確認します。
その上で、源泉徴収票を集め、確定申告の準備を進めると全体が一気に見えるようになります。分からない点は窓口で質問して問題ありません。
まとめ
退職と再就職を繰り返すと、社会保険・国民制度・税金が複雑に絡みますが、仕組み自体はシンプルです。住民税は前年所得ベース、年金と健康保険は加入期間ベース、年末調整がなければ確定申告が必要、と理解するだけで整理しやすくなります。書類の山は「確認すれば終わる作業」なので、順番に対応していきましょう。


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