医療保険を検討する際に、多くの人が気になるのが「先進医療」の保障。特に20代のうちは、実際に治療を受ける機会が少ないことから、必要性を感じにくいかもしれません。しかし、将来的な医療技術の進化や費用の変化を踏まえると、若いうちから備える意義も見えてきます。
先進医療とは?公的保険外でも高額治療が受けられる制度
先進医療とは、厚生労働省が定める公的医療保険の適用外でありながら、高い技術と効果が期待される治療法です。たとえば「重粒子線治療」や「陽子線治療」などが該当し、1回の治療費が300万円を超えることもあります。
ただし、2020年代現在では、先進医療技術の約9割は数十万円以下で提供されており、実際に300万円以上かかる治療は一部に限られています。
+150万円の保障追加に意味はある?
基本保障で300万円の先進医療保障がある場合、+1000円で追加される150万円の医療特約が「割に合うか」は悩ましいポイントです。現在の医療費実態を見れば、300万円を超えるケースは希少です。
しかし、将来的な物価上昇・技術革新による価格上昇を考慮すれば、今から手厚く備える価値はあります。特に20代という若い年齢で契約しておくと、保険料が安く済むメリットがあります。
過去30年で医療費はどう変わったか?
過去30年間で、日本の医療費全体は右肩上がりに増加しています。たとえば、1990年の国民医療費は約22兆円でしたが、2020年には44兆円超に倍増しました。これは高齢化だけでなく、高度医療機器や新薬の導入による技術料・診療単価の上昇も大きな要因です。
つまり、先進医療に限らず、高度な治療の費用が上がっていくトレンドは今後も続くと予想されます。
先進医療の保障はどこまで必要か?
保険設計の目安として、以下のような基準があります。
- 現在の貯蓄で自己負担できる金額を超えるかどうか
- 加入している保険の内容(入院・手術・通院補償)とのバランス
- 将来の不安に対して「安心を買う」という考え方ができるか
たとえば、貯金が50万円程度しかない若者にとっては、300万円の保障でも不安かもしれません。一方、貯蓄が数百万円あるなら、追加の150万円保障は「安心料」の意味合いが強くなります。
20代のうちに保険を見直すことのメリット
20代での医療保険加入には次のような利点があります。
- 保険料が安い(年齢が上がるほど高額になる)
- 健康状態が良好なうちに審査に通りやすい
- 今後の医療制度や保険改定に備えられる
また、長期的な視点で見れば、「不要に見える補償」も将来役立つことがあります。医療の進化は予測が難しく、現在は存在しない治療が10年後に一般化している可能性もあるからです。
まとめ:安心とコストのバランスで判断を
先進医療の保障については、現在の実例だけで判断せず、将来の医療費上昇や医療技術の進化にも目を向けることが大切です。300万円の保障で十分な可能性もありますが、1000円の追加で得られる「精神的な安心」が大きいなら、それも立派な理由になります。
医療保険は「今」のためだけでなく「未来」のための準備。あなたの価値観とライフプランに合った選択をすることが最も大切です。
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