予約金・先払いとしてお客様にQRコードを送って決済してもらう形態を導入しようと考えている店舗責任者の方へ。PayPayの加盟店規約における「前払いサービス(前払式支払手段)」としての扱いや、実務上の留意点を整理しました。
まず押さえておきたい「前払いサービス」の定義とPayPay規約
PayPay加盟店規約には、店舗が「前払いサービス」を扱う場合に適用される特約があります。具体的には、加盟店が自ら提供する物品・役務の対価として、代金を先にPayPayで受け取り、後日物品提供・役務提供をする場合、それは「前払式支払手段」として扱われる可能性があります。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
この特約では、加盟店が前払いサービスを取り扱うには、①PayPay社の承認を得ること、②支払い代金の上限・提供期間の対象期間の設定、③申込取消・変更条件を顧客に明示することなどが定められています。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
「予約の先払いとしてQRコードを送る」場合、どう当てはまるか
例えば、飲食店や美容サロン、イベント予約などで「予約時に先に決済を完了させておいて、後日来店・実施」という仕組みを考えた場合、以下のようなパターンが考えられます。
・店舗が予約を受け、予約金・全額をPayPayのQRコードで決済してもらい、来店・サービス提供時に消化する。
・決済後、お客様が予約通り来店・役務提供を受ける。
このように“先に支払い→後に役務提供”のフローは、「前払いサービス」の扱いとなる可能性があります。
そのため、このフローを導入する場合は、PayPay加盟店規約の前払い特約に沿った対応が必要になります。
加盟店として押さえるべき具体的ポイント
以下は店舗側が対応すべき主な留意点です。
- PayPay社の承認取得:前払いサービスとして扱う場合、規約上「当社の承認を得た期間」「当社が承認した金額を上限」とされています。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
- 申込内容・取消・変更の条件を明示:お客様に対し、申込の取消・変更可能性やクーリングオフ適用の有無を事前に書面などで告知し、承諾を得る必要があります。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
- 売上確定処理の実施:前払い代金を決済しただけでは売上確定とはならず、規約上「加盟店が売上確定処理を行う」ことが義務付けられています。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
- 提供期間・対象役務の設定:提供する役務や物品の引渡期間(対象期間)を事前に定め、契約として明記しておく必要があります。([参照](https://about.paypay.ne.jp/terms/merchant-online/rule/prepaid/))
実務上のチェック項目と注意すべきリスク
店舗運営側としては、次の点を確認・対応しておくことで、トラブル防止につながります。
例:予約時に決済が行われたが、お客様が来店せずサービス未提供となったケース。こうしたとき、提供できなかった役務に対して返金規定を設けていないと、クレーム・法的課題が発生する可能性があります。
具体的には、予約金の返金可否・有効期限・利用条件などを明記し、契約書面や予約確認メールなどでお客様に確認を取ると安心です。
まとめ:この仕組みを使うなら“前払い特約”を理解して適切に運用を
店舗が予約の先払いとしてPayPayのQRコードをお客様に送って決済してもらうこと自体は、完全に禁止されているわけではありません。ただし、これは「前払いサービス」の枠組みに入るため、規約上の手続きを正しく踏んでいないと規約違反となるリスクがあります。
導入を検討する場合は、PayPay加盟店契約を確認し、前払いサービスとしての承認を得て、申込取消・変更の条件を明示し、売上確定処理・提供期間を整備することが重要です。

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