共働き家庭が増える中で、子どもを夫婦どちらの扶養に入れるべきか悩むケースは多くなっています。特に年収差が大きい場合、税金や手当の損得は無視できません。本記事では、公務員の夫と高年収の妻という構成で、子どもの扶養をどうすべきかについて、税制や手当制度をもとに具体的に解説していきます。
所得税と住民税:扶養控除の恩恵は低所得者側に有利
所得税および住民税には、「16歳以上19歳未満」で38万円、「19歳以上23歳未満」で63万円の扶養控除があります。ただし、今回の事例では子どもは16歳未満であるため、扶養控除の対象にはなりません。
したがって、税制面では誰の扶養にしても控除による税額の違いは発生しないという結論になります。
児童手当の所得制限に注意
児童手当は「世帯で最も所得が高い人の所得」をもとに支給額が決定されます。2022年の改正後、所得が1,200万円を超えると児童手当は支給されません(特例給付も対象外)。
したがって、妻が正社員になり年収が1,200万円を超えると、所得ベースでは妻が「所得上位者」と見なされる可能性が高くなり、児童手当はゼロになる可能性があります。
ここで重要なのは、「扶養に誰を入れるか」ではなく、「誰が所得上位者か」が判定の基準となるという点です。
公務員の扶養手当制度を活用するメリット
夫が公務員である場合、多くの自治体では子ども1人あたり月額1万円、3人で月額3万円程度の扶養手当が支給されます。
一方、妻の職場には扶養手当制度がないため、夫が引き続き子どもを扶養にしておくことで月額3万円、年間36万円の収入増が見込めるというメリットがあります。
児童手当が支給されなくなったとしても、この36万円の扶養手当は大きな補填となります。
実際のパターン別比較シミュレーション
条件 | 夫の扶養 | 妻の扶養 |
---|---|---|
年収(夫650万円、妻1,200万円) | 児童手当なし/扶養手当あり | 児童手当なし/扶養手当なし |
税金控除(子どもが16歳未満) | 控除なし | 控除なし |
手取り収入への影響 | +36万円(扶養手当) | 影響なし |
このように、妻の扶養にしても何の手当も得られない一方で、夫の扶養にしておけば確実に実入りが増える構造となります。
扶養者を選ぶ上でのポイントまとめ
- 税制上の扶養控除:子どもが16歳未満であれば控除対象外
- 児童手当:世帯の所得上位者(この場合は妻)の年収が基準となり、扶養者に関係なし
- 扶養手当:制度がある方(この場合は夫)に子どもを扶養させた方が得
まとめ:今回のケースでは夫の扶養にしておくのが最も合理的
結論として、扶養手当が支給される公務員である夫が、引き続き子ども3人の扶養者となるのがもっとも金銭的にメリットがあります。税制控除の効果はないに等しく、児童手当は誰の扶養にしても妻の年収が高いことで支給停止の可能性が高いため、現金支給という確実なメリットを取る形が得策と言えるでしょう。
家族のライフステージや手当制度の変更などにも留意しながら、都度最適な判断をしていくことが大切です。
コメント