会社員として働いていると、給与明細や源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」や「住民税」の意味がわからず混乱することがあります。この記事では、源泉徴収税額が何を意味するのか、そしてそれがどのようにして毎月の給与から差し引かれているのか、さらに住民税との違いについても丁寧に解説します。
源泉徴収税額とは?その正体は所得税
源泉徴収税額とは、1年間で会社があなたの給与から差し引いた「所得税」の合計額です。これはあくまで国に納める国税であり、会社が代わりに支払ってくれています。
例えば、源泉徴収票に「源泉徴収税額:520,000円」と書かれている場合、あなたがその年に支払った所得税の合計が52万円だったという意味になります。
この金額は、毎月の給与から少しずつ前払いという形で差し引かれ、年末調整によって最終的に過不足が精算されます。
毎月の給与からどう引かれる?月割りと年末調整の仕組み
所得税は、年間の収入を見越して毎月の給与から概算で差し引かれます。これが「源泉徴収」と呼ばれる仕組みです。通常は、扶養家族や保険料などの条件に基づいて計算された「源泉徴収税額表」に従って、月々の税額が決まります。
例えば、年間の見込み所得に対して所得税が52万円になるとした場合、月々は約43,000円ずつ差し引かれます。ただし実際の金額は月によって若干の変動があります。
そして、年末に1年間の実績をもとに精算するのが「年末調整」です。多く払いすぎていれば12月の給与で還付され、足りなければ追加徴収される場合もあります。
住民税は別物!所得税とは課税対象も納付方法も異なる
「住民税」は、所得税とは別に地方自治体に納める税金です。前年の所得に基づいて翌年の6月から翌年5月までの1年間、12分割で給与から引き落とされます。
つまり、2024年の給与明細で引かれている住民税は、2023年の所得に基づいて計算されたものです。所得税と違って、年末調整では精算されません。
この住民税は源泉徴収票の「源泉徴収税額」には含まれず、通常は給与明細の別項目として表示されます。
実例で理解する!源泉徴収と住民税の流れ
たとえば、年収600万円の会社員がいるとします。年間の所得税として52万円が源泉徴収され、月々は約43,000円が差し引かれます。
一方で、前年の所得をもとに決まった住民税が年間40万円である場合、これは翌年の6月から月々約33,000円ずつ引かれる形になります。
このように、源泉徴収税額と住民税は「誰に支払うか」「どの所得に基づくか」「いつ支払うか」という点でまったく異なります。
よくある勘違いと注意点
「源泉徴収税額=住民税」と勘違いする方も多いですが、実際には全く別物です。また、年末調整で住民税が還付されると誤解している人もいますが、住民税は年末調整の対象外です。
また、住民税は毎年6月に会社から配布される「住民税決定通知書」で金額が確認できますので、源泉徴収票と合わせてチェックしておくと安心です。
副業や複数の所得がある場合は、確定申告が必要になり、さらに複雑になることもあるため注意が必要です。
まとめ:源泉徴収税額と住民税の違いを理解して、正しく把握しよう
源泉徴収税額は「所得税」であり、毎月給与から差し引かれた金額の合計です。これは年末調整で精算されます。一方、住民税は前年の所得に基づいて計算され、翌年の6月から給与から差し引かれる「地方税」です。
それぞれの税の違いや仕組みを理解しておくことで、年末調整時や確定申告時に混乱することを防ぐことができます。自分の給与明細や源泉徴収票を見直し、税金についての理解を深めておきましょう。
コメント