2025年に入り注目されている「年金改革法案」。ニュースやSNSで取り上げられる中、「結局、誰に得があって、どこが問題なの?」という疑問を持つ人も多いはずです。特に、基礎年金を厚生年金の財源で増やす案や、50歳以下の厚生年金加入者の受給額が増えるという話に対して、様々な意見が飛び交っています。この記事では、年金制度の基本から、今回の改革案の内容、そして議論のポイントまで、わかりやすく解説します。
まずは基本から:年金制度の仕組みをおさらい
日本の年金制度は「2階建て構造」とよく言われます。1階部分が『国民年金(基礎年金)』で、すべての20歳以上60歳未満の人が加入するもの。2階部分が『厚生年金』で、主に会社員や公務員が加入します。
たとえば、自営業者やフリーランスの人は国民年金だけに加入し、正社員は国民年金+厚生年金という構成になります。これが基本の仕組みです。
今回の年金改革案のポイントは?
政府が2025年に提出を目指す「年金制度改革案」では、基礎年金(国民年金)の支給額を増やすことが柱のひとつです。その財源として検討されているのが「厚生年金の保険料の一部を回す」という仕組み。
この案では、主に厚生年金加入者(会社員など)から集められる保険料の一部を、国民年金の底上げに使うことで、フリーランスや非正規雇用の人も含めた将来の年金格差を是正することが狙いとされています。
なぜ50歳以下の人の年金が増えるの?
今回の改革では、「賃金比例部分」の計算式が見直され、特に現在50歳以下の厚生年金加入者については、将来的に支給される額が増えるという見通しが報じられています。
たとえば、現在30代の会社員が65歳から受け取る年金額が、従来の見込みより月数千円〜1万円程度増える可能性があるという試算もあります。これは、長期的に保険料を納めてきた層にとっては、モチベーション維持につながる措置とも言えます。
非正規・就職氷河期世代への影響
国民年金だけに加入している非正規雇用者や自営業者は、老後の年金額が低く、生活が厳しくなる懸念があります。今回の改革では、基礎年金の水準を引き上げることによって、こうした層の最低限の生活保障を強化しようという狙いがあります。
特に、就職氷河期世代(1970年代後半〜1980年代前半生まれ)の中には、キャリアの出だしで非正規だった人も多く、将来の年金が少ないことに不安を感じている人も少なくありません。
なぜ一部で「問題だ」と言われているのか?
この改革案に対し、「厚生年金加入者から国民年金への“財源移転”は不公平では?」という指摘が出ています。つまり、「会社員ばかりが負担して、自営業者が得をするのでは?」という懸念です。
また、年金財政の持続性そのものに対する不安もあります。高齢化が進み、保険料を支える現役世代が減っていく中で、将来的な制度維持ができるのかという根本的な疑問も議論の的となっています。
制度の再分配機能と公平性のバランスをどう取るかが、今後の検討の焦点です。
まとめ:年金改革の本質は「支え合いの再設計」
今回の年金改革法案は、格差を減らし、より多くの人が老後も安心して暮らせるようにするための制度見直しです。厚生年金加入者が一部の財源を負担する形にはなりますが、社会全体として「支え合う仕組み」を再設計しようという動きです。
まだ制度の詳細は確定していませんが、自分の将来に関わる重要なテーマです。今後もニュースや政府の公式発表などを確認しながら、必要に応じて制度の理解を深めていくことが大切です。
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