退職後、健康保険の切り替え前に医療機関を実費で受診した場合、あとから保険負担分を返してもらえる制度があります。しかし手続きには「レセプト」が必要で、特に歯科クリニックでは取得に戸惑うケースも。この記事では、返戻申請の仕組みと、レセプト取得に関する具体的な対処法を詳しく解説します。
退職後の医療費は「療養費支給申請」で返金可能
退職後に新しい健康保険に加入するまでの間に医療機関を実費で受診した場合、あとから健康保険に請求し、7割相当額を取り戻せる制度があります。これは「療養費の支給申請」と呼ばれる制度です。
ただし、返金を受けるには医療機関が作成した診療報酬明細書(レセプト)が必要となります。通常、患者が受け取る領収書や明細書では不十分です。
レセプトとは?なぜ必要なのか
レセプトとは、医療機関が保険者(国保や協会けんぽ)に提出する診療内容の請求明細です。診察内容や点数、投薬、処置などが詳細に記録されており、これに基づいて保険から医療機関に支払いが行われます。
返戻の際に保険者側が「本当に保険適用の診療だったのか」を確認する必要があるため、レセプトの提出が必須となります。
歯科クリニックがレセプトを発行しない理由と対応方法
歯科医院の中には、患者にレセプトを提供する習慣がないところもあります。理由は「レセプトは保険請求のための書類であり、患者に渡すものではない」という認識によるものです。
この場合の対処法は次の通りです。
- 「療養費申請のために必要」と丁寧に説明する
- 保険者(国保など)が必要としている旨を伝える
- レセプトの写し(コピー)を希望する
- 「発行は翌月になる」と言われた場合は、その時期に再度連絡を入れる
なお、レセプトは診療月の翌月10日頃にまとめて提出されるのが一般的です。そのため、6月初旬の申請なら7月以降でないと提供できないケースもあります。
療養費申請に必要なその他の書類
療養費の申請にはレセプト以外にもいくつかの書類が必要です。以下を揃えて保険者に提出します。
- 療養費支給申請書
- 医療機関発行の領収書(原本)
- 本人確認書類
- 新しい保険証のコピー
- 振込口座の情報
申請様式は市区町村や保険の種類によって異なるため、あらかじめ保険者に確認しましょう。
レセプトがどうしてももらえない場合の相談先
レセプトの発行を断られたり、対応が不明瞭な場合は、次の相談窓口があります。
- 地域の国民健康保険担当窓口
- 市区町村の医療費相談窓口
- 医療安全支援センター
厚生労働省:医療保険制度の概要でも、制度について解説されています。
まとめ:焦らず、丁寧に確認と準備を進めよう
実費受診後の返戻申請には、「レセプト」が鍵となります。歯科医院に丁寧にお願いし、時期を待ってでも取得することが大切です。トラブルを防ぐためには、事前に保険者や医療機関に確認しながら進めることが安心です。
返金までには時間がかかる場合もありますが、制度を理解し、落ち着いて対処していきましょう。
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