スマホ決済アプリ「PayPay」は、個人間の送金や店舗決済などで幅広く利用されています。特に個人事業主にとっては、現金よりも手軽で管理もしやすく、決済手段として人気を集めています。しかし、便利な一方で「PayPayで受け取った売上には税金がかかるの?」「脱税とみなされない?」といった疑問を持つ人も少なくありません。この記事では、PayPayを使って事業収入を受け取った場合の税務上の扱いや注意点について詳しく解説します。
PayPay決済での収入も課税対象になる
結論から言うと、PayPayで受け取った売上は課税対象です。現金や銀行振込と同じように、PayPayで受け取った金額も「事業収入」として申告する必要があります。
国税庁のガイドラインでも、電子マネーやキャッシュレス決済での収入は帳簿に記録し、確定申告時に反映させることが明記されています。つまり、「現金じゃないからバレない」という認識は誤りであり、正確な記帳と申告が求められるのです。
個人間送金と事業用決済の違いに注意
PayPayには「個人間送金機能」があり、電話番号やQRコードで簡単に送金できます。ここで重要なのは、事業取引を装って個人間送金を使うと、税務調査のリスクが高くなるという点です。
たとえば、売上を「知人からの送金」などと偽って処理すると、脱税の疑いを持たれる可能性があります。PayPayでは取引履歴が記録されるため、税務署も把握可能であり、正当な取引であればPayPay for Businessを利用するのが安全です。
PayPay残高のまま使っても課税逃れにはならない
「PayPay残高のまま使えば申告しなくていいのでは?」と思う人もいますが、それは誤解です。残高を現金化しなくても、事業の対価として受け取った時点で課税対象になります。
例:店舗で10,000円分の商品を販売し、PayPay残高で受け取った場合、その10,000円は売上として記帳する必要があります。たとえその残高をそのまま日用品の購入などに使ったとしても、所得税の対象から逃れることはできません。
脱税を疑われないために必要な対策とは
高額な送金や頻繁な取引がある場合、税務署が調査に乗り出すことはあります。とはいえ、きちんと記帳・申告していれば問題ありません。
以下のような対策が有効です。
- PayPayの取引履歴を定期的に保存・印刷
- 売上と経費を明確に記帳(科目別に分ける)
- PayPayと他の決済手段の合算売上を管理する会計ソフトの活用
特に、青色申告をしている場合には、正確な帳簿付けが税務署からの信頼性向上にもつながります。
売上以外の送金も注意が必要
親族や知人からの高額な送金についても、贈与税の対象になる場合があります。年間110万円を超える金額を個人間で受け取ると、贈与税の申告が必要になる可能性があります。
例えば、家族から毎月10万円をPayPayで受け取っていた場合、年間で120万円となり、贈与税の非課税枠を超える計算になります。事業用でなくても、税務リスクがある点に注意が必要です。
まとめ:PayPayでの受け取りもきちんと申告を
PayPayは便利で手数料もかからない決済手段ですが、「税金がかからない」「記録に残らない」わけではありません。個人事業主であれば、売上としてしっかり帳簿に記載し、確定申告で正しく処理することが大前提です。
取引の透明性を保ち、万一の税務調査にも備えるためにも、PayPayの取引履歴をきちんと保存し、必要であれば税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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