「SNSで見る貯蓄額って本当?」「年収が高くても貯金はない人が多いのでは?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、金融機関勤務者の目線と実際の統計データをもとに、日本人の貯蓄の実態をわかりやすく解説します。
日本人の平均貯蓄額と中央値
総務省の家計調査によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は約1,800万円。ただし、これは「平均」であり、中央値は約1,000万円を下回ります。高額の貯蓄を持つ一部の世帯が平均値を引き上げているのです。
また、単身世帯では平均貯蓄額が500万円前後、中央値は100〜200万円程度という結果もあり、実態はSNSで見るような「みんなが数千万円貯金してる」わけではありません。
金融機関で見えるリアルな貯金事情
銀行などで日常的に顧客の口座を扱う職員の話では、「貯金が多い人も確かにいるが、大半の人は生活費ギリギリで回している」ことが一般的。年収が高い人でも支出が多く、手元に残らないケースが少なくありません。
特に、住宅ローン、子どもの教育費、事業資金などでキャッシュフローが厳しい人は、見た目の年収よりはるかに「貯まらない」のが現実です。
年収と貯蓄の関係性
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年収1,000万円以上の世帯でも「貯蓄がほとんどない」と答える割合が一定数あります。高収入=高貯蓄とは限らないのです。
実際、年収が上がると支出水準も上がる傾向があり、「節約マインドが育っていない高所得者」は意外と多いのです。
なぜSNSでは“貯金が多い”と感じるのか?
SNSには「キラキラした生活」や「貯金〇千万」などの成功アピールが多く投稿されますが、実際は一部の例外です。バズる投稿は極端な成功例や理想像であることが多く、平均的なユーザー像とは異なります。
また、資産運用アカウントや副業系インフルエンサーはビジネス目的で「裕福さ」を強調しているケースもあるため、話半分に捉えるのが妥当です。
経営者や個人事業主は“資産が見えにくい”
経営者の中には、「会社に利益はあっても自分の報酬は最小限」という人も多く存在します。資産が法人に紐づいているため、個人としての貯金が少なく見えるケースもあります。
また、経費処理などで生活費と事業費が混在していると、実質的な生活余裕度が見えづらいという点も背景にあります。
実際に貯めている人の習慣とは?
高収入でも貯金できない人がいる一方で、収入に関わらずコツコツ貯める人もいます。共通点は以下の通りです。
- 家計簿をつけて支出管理を徹底している
- ライフプランに基づき資産形成を計画的に行う
- 見栄や浪費に流されない生活スタイル
特に「先取り貯金」を習慣化している人は、安定して資産を築けています。
まとめ:見えない資産の実態と自分に合った対策
世間が「貯金があるように見える」理由には、平均値の誤解やSNSの情報の偏り、法人資産の見えにくさなどがあります。年収が高くても貯金がないという感覚は決して異常ではありません。
大切なのは、他人と比較するのではなく、自分に合ったお金の管理法を確立すること。正しい情報と現実的な視点で資産形成を見直してみましょう。
コメント