正社員になるまで有期契約なのはなぜ?雇用形態の違いと企業側のメリットを解説

社会保険

転職後、正社員を前提としていても「試用期間中はアルバイト契約」「年内は有期契約社員」といった段階を経てから無期雇用になるケースがあります。月給や社会保険が正社員と同等であるにも関わらず、なぜ形式上は有期契約なのか──その理由には、企業のリスク管理や法的な意図があります。この記事では、雇用形態ごとの違いや企業が有期契約を選ぶ背景について詳しく解説します。

雇用形態の種類と定義

雇用契約には主に以下の3種類があります。

  • 正社員(無期雇用): 契約期間の定めがなく、長期的な雇用が前提。
  • 有期契約社員: 契約期間が決まっており、満了時に契約更新または終了。
  • アルバイト・パート: 雇用形態は有期であることが多く、就業時間や業務内容が限定される。

このように、正社員以外の契約は企業が柔軟に雇用を調整できるメリットがあります。試用期間や年内の有期雇用は、その柔軟性を活かした制度設計の一環です。

「有期契約→無期契約」にする企業側の意図

企業が一時的に有期契約とする理由には、主に以下のような事情があります。

  • 適性評価の延長線上: 試用期間終了後も中長期的な業務適性や人間関係への順応を見極める期間として有期契約を設ける。
  • 労務リスクの回避: 早期退職やトラブル時に契約満了として自然に雇用を終了できる。
  • 組織予算・人員計画の都合: 正社員枠が年度単位で決まっている企業では、翌年からの無期契約にする調整が必要な場合がある。

たとえば、あるIT企業では「年内は試験的配置」という名目で有期雇用を設定し、翌年の正社員化を基準に正規ポストへの登用を決める運用が行われています。

社会保険・月給が正社員と同じでも有期扱いの理由

雇用形態にかかわらず、週30時間以上勤務する場合や所定労働時間が正社員と同等であれば、社会保険への加入義務が発生します。そのため、有期契約でも社会保険は適用され、給与も職務内容に応じて正社員と同等になることがあります。

ただし、「正社員」としての身分が確定するのは、無期雇用契約が締結されてからとなるため、制度上は有期契約者のままです。これは「形式」と「実態」の違いとも言えます。

労働者にとっての注意点

一時的な有期契約が設定されている場合でも、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 契約書の内容確認: 雇用契約書に「翌年から無期契約に切り替える予定」などの記載があるか。
  • 契約更新の条件: 明示されている更新条件や評価基準を把握しておく。
  • 正社員登用の有無: 過去に有期契約から正社員になった実績があるか、社内の前例を確認。

もし契約内容に不安がある場合は、人事部門に質問し、書面で確認しておくことをおすすめします。

まとめ

転職後に「試用期間 → 有期契約 → 無期契約(正社員)」と段階を踏むケースは、企業のリスク管理と人材適性評価の観点から見て珍しくありません。月給や社会保険が正社員と同等であっても、形式的な雇用形態には意味があります。自分の雇用形態や今後の見通しをしっかり理解し、適切に対応していきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました