自動車保険にはさまざまな補償が用意されていますが、なかでも「人身傷害補償保険」と「搭乗者傷害保険」のダブル加入については「本当に必要?」と悩む方が少なくありません。実際、事故の加害者が100%悪い場合でも、搭乗者傷害保険が別途支払われることがあり、「加入しておいて良かった」と実感するケースもあります。本記事では、加入率データや補償の違い、重複時の受け取り方などをわかりやすく解説します。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い
人身傷害補償保険は、自分(契約者)やその家族、同乗者が事故でケガをした場合に、実際の治療費や休業損害など「実損分」を補償してくれるものです。過失割合に関係なく支払われるのが特徴です。
一方で、搭乗者傷害保険は、定められた金額(定額給付)を受け取れる仕組みであり、支払い対象が明確で早期に給付されやすい利点があります。
実際の加入率はどれくらい?
2022年度の損害保険料率算出機構の調査データによると、自動車保険加入者のうち、
- 人身傷害保険の加入率:約94%
- 搭乗者傷害保険の加入率:約40〜50%
人身傷害保険は今やほぼ標準装備となっているのに対し、搭乗者傷害保険は任意性が高く、加入に差が出ています。保険料を抑える目的で省く人も多い反面、「補償を厚くしておきたい」とダブルで加入している人も少なくありません。
両方加入する意味はあるのか?
人身傷害保険があれば十分という考え方もありますが、次のような状況では搭乗者傷害保険が大きな安心材料になります。
- 事故後の通院費や慰謝料に即対応したい
- 後遺障害認定時にまとまった金額を受け取りたい
- 加害者側との過失割合交渉に時間がかかる場合
たとえば、骨折などで3ヶ月通院した場合、人身傷害では実費ベースでの支払いとなりますが、搭乗者傷害では治療日数に応じて10万円以上の給付金が受け取れることもあります。
補償が重複した場合の保険金の取り扱い
人身傷害と搭乗者傷害は、「補償の対象」「支払いの形式」が異なるため、両方からの給付が可能です。これは二重取りではなく、制度上認められた正当な受け取り方です。
搭乗者傷害は「定額給付」のため、事故後すぐに一時金が支払われやすく、経済的・精神的に非常に助けになると感じる方が多くいます。
実際の体験談:10割加害者でも自分の保険から給付
あるケースでは、追突事故に巻き込まれ相手方に100%の過失があったため、修理費や通院費は全額相手の保険から支払われました。
しかし契約者は搭乗者傷害にも加入していたため、自身の保険会社から「ケガによる通院給付金」や「後遺障害給付金」が支払われ、「思いがけず金銭的な補償があった」と感じたそうです。
まとめ:搭乗者傷害保険は“万が一”の精神的備えに有効
人身傷害保険があるからといって、搭乗者傷害保険が無駄になるわけではありません。特に事故後の早期対応や一時的な補填を重視する場合には、ダブル加入が安心材料となります。
加入率は約半数ですが、補償内容を見直す際は、「自分が事故に遭ったとき、本当に安心できる備えがあるか?」という視点で判断することが大切です。
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