年金制度の中でも加給年金は見落とされがちですが、受給資格を満たしていれば夫の年金に上乗せされる大切な制度です。しかし、配偶者が特別支給の老齢厚生年金を受ける場合など、一部のケースでは支給期間に注意が必要です。この記事では、夫65歳・妻61歳の時点で加給年金が支給される期間と、妻が64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取る場合にどう影響するかを詳しく解説します。
加給年金とは何か?基本のおさらい
加給年金とは、厚生年金を受け取る本人(多くは夫)が、一定の条件を満たす配偶者や子を扶養している場合に支給される上乗せの年金です。
主な要件は以下の通りです。
- 受給者が厚生年金に20年以上加入している
- 配偶者が65歳未満である
- 配偶者が年収850万円未満であり、一定の公的年金(本来の老齢基礎・厚生年金)を受給していない
この加給年金は、配偶者が65歳に達するか、または本来の老齢年金(基礎・厚生)の受給権が発生すると打ち切られる点が非常に重要です。
特別支給の老齢厚生年金はどう扱われる?
妻が64歳から受け取る予定の「特別支給の老齢厚生年金」は、実は本来の年金ではなく、旧制度による経過措置としての支給です。この年金には以下の特徴があります。
- 原則として加給年金を打ち切る「老齢年金の受給権」には該当しない
- あくまでも65歳前の暫定的な支給であり、本来の老齢年金ではない
そのため、妻が64歳で特別支給の年金を受給しても、加給年金は打ち切られず、65歳になるまで支給が継続されます。
実例:夫65歳・妻61歳からの加給年金支給期間
では、今回のケースに当てはめてみましょう。
- 夫:63歳 → 65歳になると老齢厚生年金+加給年金が支給開始
- 妻:59歳 → 65歳になるまで加給年金の対象
つまり、夫が65歳〜妻が65歳になるまでの4年間が加給年金の支給対象期間となります。
仮に妻が64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取ったとしても、それによって加給年金が打ち切られることはありません。
注意:65歳での本来の老齢年金開始が「打ち切り」ポイント
加給年金が終了するのは、配偶者が65歳になり、老齢基礎年金および老齢厚生年金の本来支給が始まったときです。
これは「特別支給の老齢厚生年金」とは区別されるため、65歳まで支給される点を勘違いしないようにしましょう。
まとめ
加給年金は、夫が65歳になってから妻が65歳になるまでの期間(今回の例では4年間)支給されます。妻が64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給し始めても、それは本来の老齢年金ではないため、加給年金は打ち切られません。制度の仕組みを正しく理解して、必要な手続きを漏れなく行いましょう。
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