転職と傷病手当金の受給に関する注意点と健康保険の扱いについて

社会保険

転職を控えながら傷病手当金を受給している方にとって、「退職日と転職日が連続する場合の支給元や健康保険料の取り扱い」は非常に気になるポイントです。本記事では、傷病手当金の支給元や転職月の保険料負担に関する実務上の取り扱いについて詳しく解説します。

傷病手当金はどこから支給されるのか

まず大前提として、傷病手当金は原則として「退職前に加入していた健康保険組合(または協会けんぽ)」から支給されます。退職後も条件を満たせば継続受給が可能です。

たとえば、6月10日付で退職し、その日まで傷病手当金を受給していた場合、6月11日以降に転職したとしても、6月10日までは前の保険者からの支給となります。ただし、退職後も同じ傷病による療養が継続し、かつ就労不能であれば、最長で1年6か月間は前の健康保険組合から支給を受けられます(資格喪失後の継続給付といいます)。

転職後に傷病手当は引き継がれる?

転職先の健康保険組合においては、前職での傷病手当金の受給を引き継ぐことはありません。新たに傷病が発生しない限り、新しい組合からの傷病手当金は発生しません。したがって、同一の傷病については前の保険者が支給元であり続けることになります。

月の途中で転職した場合の保険料はどうなる?

健康保険料・厚生年金保険料については、通常「資格取得日が1日でもあればその月の保険料は1か月分発生」します。つまり、6月11日に転職した場合でも、転職先で6月分の保険料が発生することは制度上は問題ありません

この際に「転職直後に傷病手当金をもらっていた」ことにより、保険者や企業から不審に思われる可能性はゼロではありませんが、制度として適法な申請である限り、通常は問題視されることはありません。

保険者に説明を求められるケースとは?

ただし、傷病手当金の申請内容と就労状況の矛盾がある場合や、あまりにも短期間で転職→休職→再受給などを繰り返すと、支給審査で疑義照会が入ることもあります。

そのため、転職初日からフルタイム勤務できる状態であれば、傷病手当金の受給は前職最終日までにすべきです。そうでない場合は、無理に出勤せず療養継続の申請が望ましいでしょう。

まとめ:制度の理解と正確な手続きを

傷病手当金は、前の勤務先での保険加入中の制度であることを押さえつつ、転職後は新しい保険制度の適用を受けるという構造です。

  • 6月10日退職→6月10日までは前の保険組合から支給
  • 6月11日転職→新たな保険加入となり、6月分の保険料が新勤務先で発生
  • 前の保険者からの傷病手当金は条件を満たせば継続可

手続きや給付に関して不安がある場合は、必ず各健康保険組合や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

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