障害年金は、うつ病や強迫性障害などの精神疾患を抱える人にとって、大切な経済的支援制度です。しかし「通院歴が少ない」「何年も受診していない」場合でも申請ができるのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、そうしたケースでの障害年金申請のポイントと、通院先を変えるタイミングについて詳しく解説します。
障害年金の基本と「初診日」の重要性
障害年金の申請において、まず最も重要になるのが「初診日」です。これは、障害の原因となった病気で最初に医療機関を受診した日のことを指します。
この初診日を証明することができれば、その後にブランク(未受診期間)があっても申請は可能です。たとえば、5年前に精神科で適応障害の診断を受けた場合、そのときの通院記録が残っていれば、それが初診日として使えます。
通院歴が少なくても年金が認められるケースもある
「年金は継続的に通院していないと通らない」という誤解がありますが、実際にはそうとは限りません。医師の診断書の内容や、現在の状態が重度であることがしっかりと伝わる場合、通院歴が乏しくても認定される可能性はあります。
ただし、過去の通院記録が少ないぶん、現在の状態を丁寧に記載してもらえるよう、主治医とよく相談することが大切です。診断書は申請の肝とも言える書類であり、「日常生活能力の程度」「社会復帰の困難さ」が明確に反映されている必要があります。
通院先を変えるベストなタイミングとは?
通院が困難なほど遠方のクリニックに通っている場合、通いやすい医療機関へ変更したいという気持ちは自然なことです。ただし、診断書の発行が終わるまでは、変更を待つのが無難です。
というのも、申請書類に一貫性がある方が、審査において疑問を持たれにくくなります。診断書を書いた医師と現在通っている医師が違うと、症状の整合性が取れない場合があり、追加の書類を求められることもあります。
診断書提出後であれば、別の医療機関へ転院しても問題ありません。転院の際には、新しい医師にも申請の経緯や症状の経過を丁寧に伝えるようにしましょう。
障害年金申請の具体的な流れ
障害年金の申請は次のようなステップで進みます。
- ① 初診日の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼
- ② 現在の医師に「診断書」を依頼
- ③ 年金事務所または社会保険労務士に相談し、申立書などを作成
- ④ 書類一式を年金事務所に提出
- ⑤ 審査(通常3〜6か月)を経て結果通知
なお、障害年金の申請には時間がかかるため、早めに動き出すことが大切です。精神的・身体的に辛いときは、障害年金に詳しい社労士に代行を依頼するのも一つの方法です。
実例:5年ぶりに診察したAさんのケース
Aさんは5年前に適応障害と診断されたあと、治療を中断して引きこもりの状態に。しかし最近うつ病と強迫性障害が悪化し、再び同じ医師を受診。医師の提案で障害年金の申請を開始しました。
初診証明を取得し、診断書を丁寧に作成してもらった結果、審査に通り障害基礎年金2級を受給。以後は自宅近くのクリニックへ転院し、通院の負担も軽減されました。
まとめ:大事なのは「初診日の証明」と「現在の状態」
たとえ過去の通院回数が少なくても、初診日を証明でき、現在の病状が重いことを診断書でしっかり伝えることができれば、障害年金の受給は十分に可能です。
遠方の医療機関での受診が負担になる場合でも、申請手続きを終えてから転院することで、スムーズな継続治療につなげることができます。自分の状態を丁寧に伝え、焦らず確実に準備を進めることが大切です。
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