大学生でアルバイトをしながら収入を得る方の中には、勤労学生控除を活用して節税したいと考えている人も多いはずです。しかし、年収の調整や確定申告の手順、源泉徴収票の取得など、初めての方には不安な点も少なくありません。本記事では、大学生が150万円未満の収入を得ながら勤労学生控除を利用するためのポイントや、複数のバイトを掛け持ちしている場合の確定申告方法について詳しく解説します。
勤労学生控除の概要と適用条件
勤労学生控除とは、一定の条件を満たす学生が、所得税の計算上「27万円の所得控除」を受けられる制度です。通常の基礎控除48万円に加え、合計75万円まで非課税になります。
主な条件は以下の通りです:
- 給与所得などの勤労による収入があること
- 合計所得金額が75万円以下(給与収入103万円以下)が目安
- 学校法人が設置する学校の学生・生徒であること
ただし、合計所得が一定以上でも、年末調整や確定申告で控除が受けられるケースもあります。
年収150万円でも控除は受けられる?
勤労学生控除は、基礎控除と合わせて75万円まで非課税とされていますが、実際の税負担は「課税所得」によって決まります。給与収入150万円の場合、給与所得控除55万円を差し引いた後、課税対象が95万円となり、基礎控除と勤労学生控除(計75万円)を差し引くと20万円が課税対象です。
つまり、150万円の収入があっても、所得税が少額で済むか、還付される可能性があります。年末調整で控除が適用されていない場合は、確定申告で自分で申告する必要があります。
確定申告の手順と必要書類
バイトを複数掛け持ちしている場合は、全ての勤務先から「源泉徴収票」をもらい、合算して確定申告します。主な手順は次のとおりです。
- 全てのバイト先から源泉徴収票を取り寄せる(辞めた会社も含む)
- 国税庁の「確定申告書作成コーナー」で必要情報を入力
- 勤労学生控除を適用するためのチェックを忘れずに
- 提出方法はオンライン(e-Tax)または郵送・税務署窓口へ
確定申告は翌年の2月中旬から3月中旬までですが、還付申告なら1月以降いつでも提出できます。
源泉徴収票がもらえない場合の対処法
すでに辞めたバイト先から源泉徴収票をもらうのが気まずい場合でも、会社には発行する義務があります。電話が難しければ、メールや手紙で以下の内容を記載して依頼しましょう。
- 氏名・勤務期間・送付先住所
- 源泉徴収票の発行依頼である旨
- 丁寧な挨拶文(例:「お忙しいところ恐れ入りますが…」)
法的には翌年の1月末までに発行されるべき書類なので、遠慮せずに請求して問題ありません。
よくある間違いと注意点
勤労学生控除の適用でありがちなミスには次のようなものがあります。
- 源泉徴収票の提出漏れ
- 勤労学生控除のチェック忘れ(確定申告書作成時)
- 所得控除の二重適用(親の扶養控除と重複しないよう注意)
扶養控除と勤労学生控除は併用できません。自身が扶養を外れている場合は親の税金にも影響するため、事前に家族と確認を。
まとめ:控除制度を正しく理解し、確実に申告しよう
大学生でも収入状況によっては確定申告と勤労学生控除の活用が必要です。特に複数のバイト先がある場合は、すべての源泉徴収票を揃えて、漏れなく申告しましょう。収入150万円程度であっても、適切な控除を受けることで税負担を抑えることができます。手間はかかりますが、数千円~数万円の還付を受けられるケースもあります。正しい知識を持って、効率よく税金対策を行いましょう。
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