企業が従業員に対してかける保険には、福利厚生としての側面だけでなく、税制や契約形態に応じたさまざまなパターンがあります。かんぽ生命の養老保険についても、「遺族が全額受け取れる」との情報を見かけることがありますが、実際には会社が契約者となっているケースでは内容が異なる場合があります。
養老保険の基本的な仕組みとは
養老保険は、保険期間中に死亡した場合は死亡保険金が、満期を迎えた場合には満期保険金が支払われる、貯蓄性のある保険です。通常は契約者、被保険者、受取人の3者関係で成り立っています。
例えば、被保険者が従業員で、契約者・受取人が企業という形になると、死亡保険金は会社に支払われ、遺族には直接届かないこともあります。
企業が契約する保険の契約形態に注意
保険契約の内容は企業によって異なりますが、次のような形式が考えられます。
- 契約者:会社
- 被保険者:従業員
- 受取人:会社
この場合、保険金の法的な受取人は企業であり、遺族には直接渡されません。会社の就業規則や福利厚生規定に基づき、会社が独自に「見舞金」や「死亡退職金」として一部を支払うことがありますが、それは任意であり、金額も契約によって異なります。
遺族が全額受け取れるのはどんなケース?
「遺族が保険金を全額受け取る」というのは、個人契約の場合に成立するケースが一般的です。契約者=被保険者=従業員本人、受取人=家族という形式なら、死亡時に遺族が全額を受け取れます。
しかし、企業契約の場合には保険金の分配は会社判断であり、全額遺族に渡るとは限りません。あくまでも会社の裁量に基づくため、3分の1などの割合で支給される場合もあります。
会社契約の保険に関する確認ポイント
自分の会社がかけている保険について確認するには、以下の点をチェックしましょう。
- 保険契約書の契約者・受取人の名義
- 就業規則や福利厚生規程にある「死亡退職金」や「弔慰金」制度
- 保険料の負担者(会社全額負担 or 一部本人負担)
これらを人事部や総務部に相談することで、保険金の支払先や割合が明確になります。「ネットに書かれていたから全額もらえる」ではなく、契約の中身を正確に把握することが重要です。
法律的な視点と対策
法的には、保険金の受取人が企業である限り、遺族が保険金を請求する権利はありません。ただし、労働契約や福利厚生の中に定めがある場合、一定の支給が期待できます。
もし遺族としての権利を明確にしたいのであれば、個人で別途生命保険に加入することも検討しましょう。会社がかける保険と個人契約の保険は別物であり、併用が可能です。
まとめ:会社契約の保険は「会社が受け取る」が原則
かんぽ生命の養老保険であっても、契約者が会社であれば死亡保険金の受取人は会社となります。そのため、遺族が「全額受け取れる」と期待するのは誤解につながります。
遺族が受け取れる金額やその根拠は、会社の内部規定に基づいて決まります。不明点があれば、遠慮せずに人事や総務に確認することが第一歩です。
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