精神障害と身体障害での障害年金は併給できる?等級や振込方法の制度解説

年金

障害年金には、精神障害や身体障害に関わる多様な支給制度が存在します。複数の障害を抱える場合、それぞれに対して年金が支給されるのか、また受給が別々に扱われるのかという点は、多くの人にとって疑問となるポイントです。本記事では、精神障害と身体障害を併せ持つケースにおいて、障害年金の支給方法や併給の可否、支給額の決定ルールについてわかりやすく解説します。

障害年金の基本的な仕組み

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、原則として障害の重さ(等級)や加入していた年金制度に応じて支給されます。

障害年金の等級は1級~3級(基礎年金は2級まで)で構成され、障害の内容が精神か身体かにかかわらず、障害認定基準に基づき支給の可否と金額が決定されます。

複数の障害がある場合の取り扱い

複数の障害がある場合、それぞれの障害について個別に年金が支給されるわけではありません。精神障害と身体障害の等級がそれぞれ存在する場合でも、最も重い障害等級が採用され、併給はできません。

ただし、両方の障害を総合的に評価して、より高い等級に認定される可能性があります。これを「併合認定」と呼びます。つまり、精神障害だけでは2級相当、身体障害だけでは3級相当であっても、併せて1級と認定されることがあるのです。

振込は一元管理で分割されない

障害年金は1つの年金番号に対して支給される仕組みであり、仮に複数の障害があったとしても、年金は「一つの振込」として扱われます。
精神障害と身体障害それぞれに対して別々に年金が振り込まれるということはありません。

例えば、身体障害で障害厚生年金2級、精神障害で障害基礎年金2級の認定を受けたとしても、それぞれが単独で振込まれることはなく、もっとも高い支給額に基づき一括して支給されます。

併合認定の具体例

実際の例として、ある方が統合失調症(精神障害)で2級、さらに心臓疾患による身体障害5級と診断されたケースでは、単体ではどちらも3級認定にとどまりますが、両障害を併せて評価した結果、2級の認定を受けたという例があります。

併合認定を希望する場合は、主治医にその旨を伝えたうえで、診断書にすべての障害を記載してもらい、障害認定日請求または事後重症請求を行うことが重要です。

特別障害者手当など他制度との関係

障害年金のほかに、精神・身体に重度の障害がある方には「特別障害者手当」「重度心身障害者医療費助成制度」などの制度が適用される可能性もあります。これらの制度は、年金とは別に支給され、障害の種類や重複の有無が考慮されることがあります。

各自治体によって適用条件が異なるため、年金とあわせて市区町村の福祉課に確認することをおすすめします。

まとめ

精神障害と身体障害の両方を抱えている場合でも、障害年金は最も重い等級を基準に一つの年金として支給され、別々に振り込まれることはありません。ただし、両障害を合算してより高い等級に認定される併合認定があるため、診断書や申請の際は全ての障害を正確に記載することが大切です。詳細な制度の確認や申請手続きは、年金事務所や専門の社会保険労務士への相談も検討しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました