iDeCo(個人型確定拠出年金)を以前の職場で始めたものの、手続きを放置していた結果、資産が仮預かり(自動移換)状態になってしまった方も少なくありません。このような場合、手数料が差し引かれ続けるだけでなく、老後資金としての運用も行われないため、早急な対応が求められます。幸い、元の職場に連絡せずとも、別の金融機関を通じて手続きを進めることが可能です。
自動移換とは何か?
企業型確定拠出年金の加入者が退職後6ヶ月以内に資産の移換手続きを行わなかった場合、その資産は国民年金基金連合会に自動的に移換されます。この状態では、資産の運用は行われず、毎月52円の管理手数料が差し引かれるため、資産が減少していきます。
さらに、自動移換中の期間は、老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されないため、受給開始年齢が遅れる可能性もあります。
元職場に連絡せずに移換手続きを進める方法
自動移換された資産を再度iDeCo口座に移すには、新たな金融機関(運営管理機関)を選び、以下の手続きを行います。
- 選んだ金融機関に「個人型年金加入申出書」と「個人別管理資産移換依頼書」を提出します。
- 必要書類には、基礎年金番号や本人確認書類の写しが含まれます。
- 手続き完了までには1〜2ヶ月程度かかることがあります。
この手続きを通じて、元の職場に連絡することなく、自動移換された資産を新たなiDeCo口座に移すことが可能です。
運用指図者としての選択肢
iDeCoには「加入者」と「運用指図者」の2つの立場があります。加入者は掛金を拠出しながら運用を行いますが、運用指図者は新たな掛金の拠出は行わず、既存の資産の運用のみを行います。
再度掛金を拠出する予定がない場合でも、運用指図者として手続きを進めることで、資産の運用を再開し、手数料の差し引きを抑えることができます。
金融機関の選び方と手数料の比較
金融機関によって、iDeCoの運営管理手数料や取り扱う商品が異なります。手数料が低い金融機関を選ぶことで、長期的な資産の目減りを防ぐことができます。
例えば、SBI証券や楽天証券などは、運営管理手数料が無料または低額であり、オンラインでの手続きも可能です。自身のニーズに合った金融機関を選ぶことが重要です。
手続きの流れと注意点
手続きの一般的な流れは以下の通りです。
- 新たな金融機関を選び、必要書類を取り寄せる。
- 書類に必要事項を記入し、本人確認書類の写しとともに提出する。
- 金融機関が国民年金基金連合会と連携し、資産の移換手続きを行う。
- 手続き完了後、新たなiDeCo口座での運用が開始される。
注意点として、手続きには時間がかかるため、早めに対応することが推奨されます。また、書類の記入ミスや不備があると、手続きが遅れる可能性があるため、慎重に進めることが大切です。
まとめ
iDeCoの自動移換状態を放置すると、資産が減少し、老後資金としての活用が難しくなります。元の職場に連絡せずとも、新たな金融機関を通じて手続きを進めることが可能です。運用指図者としての選択肢も含め、自身の状況に合った方法で早めに対応し、資産の運用を再開することをおすすめします。
コメント