収入が限られる中で将来のための資産形成を考えるとき、NISAを活用したいと思うのは自然な発想です。特に、万が一の備えとしての生活防衛費をNISAに積み立てるというアイデアは、一定の合理性も感じられるものです。本記事では、そのメリットとリスクを整理し、現実的なアプローチを解説します。
NISAで生活防衛費を積み立てるメリットとは
つみたてNISAは非課税で資産運用ができ、長期的に見れば複利の力で大きなリターンが期待できます。生活防衛費を預金ではなくNISAに充てれば、金利の低い普通預金よりも効率よく資産を増やせる可能性があります。
例えば、10年間で年利4%で運用できた場合、毎月1万円の積立で約150万円が約180万円になる試算です。貯金より増える可能性があると感じるのも無理はありません。
つみたてNISAの注意点:必要なときにすぐ使える?
一方で、NISAは短期の現金化には向かないという性質があります。相場が下がっているときに解約すると元本割れのリスクがあるうえ、売却から実際にお金が口座に入るまで数営業日かかることも。
生活防衛費は「突然の入院」や「家電の故障」など、即日での支出が必要な場面に備えるため、すぐ引き出せる普通預金や定期預金での管理が基本とされているのです。
「生活防衛費はまず貯めろ」の背景にある金融の常識
多くのファイナンシャルプランナーが「まず生活防衛費を確保してから投資を」と伝えるのには理由があります。それは、投資は余剰資金で行うのが鉄則だからです。
特に子育て中の家庭は突発的な支出が多く、貯金ゼロでNISAに全額回すのは非常にリスクの高い行動になります。生活費3〜6ヶ月分を現金で備えるのが理想です。
普通預金とNISAを半分ずつ積み立てるのは現実的か?
「全部現金」か「全部NISA」かという極端な選択ではなく、現金:投資を50:50でスタートする方法はバランスが取れており一定の合理性があります。
例えば、毎月2万円の余剰資金があるなら、1万円を普通預金に、1万円をつみたてNISAに積み立てることで、将来に備えつつ、いざという時の現金も確保できます。
実例:30代5人家族の現実的な資産形成プラン
未就学児が3人いる家庭の場合、教育費や急な医療費が今後数年以内にかかる可能性が高いため、まずは生活防衛費として50〜100万円程度を目標に現金貯金を確保しましょう。
その上で、児童手当などを活用して、つみたてNISAで教育資金や老後資金をコツコツ積み立てていくのが、将来的な安定にもつながります。
まとめ:目的と資金の性質を分けて考えるのがカギ
NISAは非常に有用な資産形成ツールですが、生活防衛費は「投資」ではなく「保険」に近い存在です。すぐに使える現金と、長期的に育てる資産を切り分けて考えることで、家計はより安定します。
完全にNISAか普通預金かではなく、「半分ずつ」という中間戦略は柔軟で現実的な選択肢です。今後の生活に合わせて、少しずつ調整していくことをおすすめします。
コメント