障害年金の受給要件を調べていると、精神障害にだけ「日常生活に著しい制限を受けること」という記載が強調されていることに気づく方は多いでしょう。一方、言語障害や肢体不自由などの他の障害では、単に「機能に著しい障害がある」とだけ書かれており、混乱を招くことがあります。本記事では、その違いの背景や支給基準の本質について、わかりやすく整理します。
精神障害と身体障害では基準の構成が異なる
障害年金の認定基準は、精神障害と身体障害で評価の枠組みが異なります。精神障害は、症状の見た目や測定可能な数値だけでは判断しにくいため、「日常生活能力」が重視されます。
一方、言語障害や視覚障害、聴覚障害など身体機能に関する障害は、医学的な数値や検査結果で障害の程度が把握できるため、「機能の著しい障害」そのものが判断基準となっています。
日常生活に影響がなくても支給対象となる可能性がある
たとえば「音声または言語機能に著しい障害がある」とされた場合、それだけで障害等級が決定される可能性があります。つまり、必ずしも日常生活への支障が明確である必要はないのです。
ただし、現実的には年金認定医による総合的な評価が行われるため、「機能障害があっても日常生活に困っていない」と見なされれば、等級に影響するケースもあります。支給の可否は、診断書や日常生活の状況証明などの情報をもとに判断されるのです。
言語障害の具体例と判断基準
たとえば、構音障害や失語症などにより発語が極端に不明瞭で会話が成立しない場合、「音声機能に著しい障害」と判断される可能性があります。
日本年金機構の認定基準では、「普通の会話が著しく困難である状態」が明記されており、これが確認されれば日常生活の制限にかかわらず障害等級に該当することがあります。
「著しい障害」は誰がどのように判断するのか
障害の程度を決定するのは、年金機構が委嘱する認定医です。彼らは提出された診断書や病歴・就労状況等申立書、場合によっては日常生活状況報告書などをもとに総合的に判断します。
つまり、医師の診断書にどのような情報が書かれているかが重要です。たとえ基準上「著しい障害」に該当していても、診断書の内容が不十分であれば認定されない可能性もあるため、事前に専門家(社労士等)に相談するのも一案です。
申請前に確認すべきこと
- 障害の種類に応じた認定基準を正しく把握しているか
- 診断書に機能障害の内容と程度が具体的に記載されているか
- 生活状況報告書に支障の程度が客観的に書かれているか
- 必要に応じて社労士等の専門家に添削を依頼しているか
これらのポイントを確認しておくことで、支給の可能性を高めることができます。
まとめ:機能障害だけで認定されるケースもある
障害年金の支給基準は一見複雑ですが、精神障害以外の障害では「日常生活の支障」が必須ではない場合があります。とくに言語障害などは「機能の著しい障害」が明確であれば、それだけで支給対象になる可能性もあるのです。
ただし最終的には診断書や書類の書き方が鍵を握るため、専門家の協力を得ながら丁寧に準備することが大切です。
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