マンションの組合員による同一人物の繰り返しの漏水事故について、火災保険の個人賠償責任補償特約で対応できるかどうかは、多くの理事の方が悩むポイントです。本記事では、特に複数回の事故請求が可能か、最近の保険会社の対応傾向について整理して解説します。
個人賠償責任補償とは何か
個人賠償責任補償とは、日常生活で他人に損害を与えた場合に、その賠償責任を補償する特約です。例としては、マンションで家の水漏れを起こし、下階の住戸に被害を与えた場合などが該当します。
一般的に1事故ごとに補償され、保険金額の範囲内で何回でも請求可能です。つまり、複数回の事故請求自体に法的な制限はありません。
複数回請求に上限はあるのか?
損保ジャパンのFAQでは「保険金の請求回数に上限はありません。ただし、請求履歴が多いと契約更新を見送られる場合もある」と明記されています :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
つまり、制度的には何度でも請求は可能ですが、過去の事故頻度によっては、保険会社側がリスクと判断し、保険契約の更新や継続を断る可能性もあるという点に注意が必要です。
保険金が出ないと言われた原因は?
理事長のケースでは、過去には同一人物の事故でも複数回支払いがあったが、最近は2回目以降は支払われないと言われたとのことです。
これは、保険会社の内部運用方針の変更や、過失事案の評価基準の厳格化が原因である可能性があります。さらに、補償重複の有無も影響します。
補償重複の考え方と影響
損害保険では、複数の契約で同じ補償が重複しても、実損額を超えて支払われることはありません(実損払いです) :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
過去に類似の補償が他に存在した場合、または事故内容が重複と判断されるケースでは、2重に支払われず、一方の契約でのみ保険金が支払われることになります。
実例:頻度による支払い拒否の可能性
過去に1年で3回事故があった際に保険金が支払われたケースでも、最近では直近の請求履歴や過失内容によっては同一人物からの頻度の高い請求は支払い対象外と判断される可能性があります。
保険会社のリスク管理基準や、事故原因の特性(不注意の重複など)により、対応が変わることがあります。
理事会としてできる対応と確認項目
- 保険会社に、過去事故の支払い履歴と理由を正式に問い合わせる
- 補償の重複がないか確認する(複数保険が存在しないか)
- 同一人物の過失頻度が高い場合、組合の自己負担交渉や注意義務を徹底する
これらの情報を整理し、保険会社との理解を深めることが重要です。
まとめ:請求制限は制度ではなく運用による
個人賠償責任補償特約では、理論上は同一人物による複数事故も支払対象として請求可能です。ただし、最近では保険会社側の運用判断により支払いを見送るケースも出ています。
重要なのは、保険会社に正確な過去の支払い履歴とその根拠を確認し、補償内容を理解したうえで今後の事故対応方針を立てることです。理事会として透明性をもって対応することが、トラブル回避につながります。
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