年金分割制度によって、離婚後の年金の扱いが変わることをご存知ですか?特に「ねんきん定期便」に記載されている金額が、分割前なのか後なのか気になる方も多いでしょう。この記事では、年金分割の基本と「ねんきん定期便」の見方についてわかりやすく解説します。
年金分割とは何か?その基本をおさらい
年金分割とは、婚姻期間中に一方が厚生年金に加入し、他方が扶養や専業主婦(主夫)であった場合、その厚生年金の保険料納付実績を分割できる制度です。
2007年の制度導入以降、離婚時に合意または裁判により、婚姻期間中の厚生年金記録の最大50%まで分割することが可能です。これにより、専業主婦(主夫)も将来一定額の年金を受け取る権利が確保されます。
「ねんきん定期便」に記載の金額は分割後の金額?
結論から言えば、「ねんきん定期便」に表示されている年金額は、すでに年金分割の反映後の金額です。
日本年金機構は、分割手続きが完了した時点で、加入記録を更新します。その後に届く定期便や年金見込額は、その反映済みの状態で計算されています。
たとえば、結婚生活13年間の間にご自身が厚生年金に加入し、配偶者が扶養であった場合、その13年分の厚生年金記録のうち50%が配偶者に分割されていれば、今記載されている年金見込額はその減額後です。
ねんきん定期便で分割の影響を確認する方法
定期便だけでは詳細な履歴はわからない場合もあります。そんなときは、「ねんきんネット」を活用しましょう。
ねんきんネットでは、過去の加入実績、各年度ごとの納付状況、年金見込額などがより詳しく確認できます。分割が反映された履歴や、減額前の実績との比較も可能です。
分割による減額の具体例
例として、婚姻期間中に得た厚生年金の実績が13年間で300万円分あったとします。これを50%分割した場合、150万円分が相手に移り、自分の記録は150万円分減額されます。
この影響は、定期便の「これまでの加入に応じた年金額(年額)」にすでに反映されており、見込年金額も減額後のものとして記載されているため、追加で引かれることは基本的にありません。
分割後にできる手続き・対策は?
年金分割は確定したあとで見直すことは基本的にできませんが、自分の老後資金に不安が残る場合は、以下のような対策が可能です。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入
- 付加年金や国民年金基金などの制度を活用
- 厚生年金の加入期間を延ばす(65歳以降も働く)
また、将来的に年金受給が始まる前に、ねんきんネットや年金事務所で再度見込額を確認しておくことも大切です。
まとめ:定期便の金額は反映後、追加で引かれることは原則なし
離婚後に年金分割の合意が成立し、日本年金機構に届け出た場合、「ねんきん定期便」に記載された年金額は、すでにその分割内容が反映された後の数値となっています。
- 分割合意後に届いた定期便は「減額済み」の年金見込額
- 今後さらに年金が減らされる心配は基本的に不要
- より詳細を知りたい場合は「ねんきんネット」を活用
安心して老後の計画を立てるためにも、正しい年金情報の把握と、自助努力による備えを意識していきましょう。
コメント