専業主婦や配偶者が扶養に入っている場合でも、一定の所得が発生すると確定申告が必要になる場合があります。特に譲渡所得は一時的に発生することが多く、控除額の理解が不十分だと見落としがちです。本記事では、譲渡所得の非課税枠と確定申告の判断基準について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
譲渡所得とは?対象と計算方法の基本
譲渡所得とは、資産(株、土地、貴金属、書画骨とう品など)を売却して得た利益を指します。譲渡所得 = 売却金額 −(取得費 + 譲渡費用)という式で計算され、所得税や住民税の課税対象になります。
なお、日常生活で使う家具や衣類などは課税対象外ですが、金・プラチナなどの貴金属や絵画、骨董品は譲渡所得の対象になります。
譲渡所得の控除額「50万円」の意味
譲渡所得には、特別控除額として年間50万円まで非課税となる制度があります。これは個人単位で適用され、所得が50万円を超えない限り、確定申告は原則不要です。
つまり、夫婦それぞれに「50万円まで」の控除枠があるため、別々に取引していれば夫婦で最大100万円までが非課税の可能性があります。
扶養に入っていても譲渡所得があると確定申告が必要?
専業主婦など扶養に入っている場合でも、所得の種類に関係なく一定の所得を超えると確定申告が必要になります。所得金額が48万円を超えると扶養の対象から外れる可能性もあるため注意が必要です。
ただし、譲渡所得における「50万円の特別控除」と「扶養判定の48万円の壁」は制度の性質が異なるため、混同しないようにしましょう。
具体例で解説:夫婦で金を売却した場合
例えば、夫が金を40万円で売却し、妻(扶養内)が金を45万円で売却した場合、どちらも50万円以下であるため、譲渡所得控除で課税対象外となります。確定申告も原則不要です。
ただし、複数回売却を行い、年間の譲渡益の合計が50万円を超えた場合は、超えた部分に対して課税が生じ、確定申告が必要になります。
譲渡所得と扶養判定の「48万円の壁」の違い
扶養判定における「48万円の壁」とは、配偶者控除や扶養控除の判定基準で使われる合計所得金額のラインです。譲渡所得はその中に含まれますが、50万円の特別控除を差し引いた後の金額が48万円を超えるかどうかで判断されます。
たとえば、譲渡益が80万円あった場合、50万円を控除して残り30万円であれば、扶養から外れません。逆に100万円の譲渡益があれば、控除後50万円となり、48万円を超えるため扶養から外れる可能性が出てきます。
まとめ:譲渡所得の控除と確定申告の関係を正しく理解しよう
譲渡所得における50万円の特別控除は、個人単位で適用され、年間の譲渡益がそれ以下であれば確定申告も原則不要です。一方、扶養控除の判定には48万円という基準もあるため、所得の合計には注意が必要です。
夫婦での譲渡の場合でも、別々の売却であればそれぞれ控除が使えるため、正しく把握しておくことが大切です。制度の誤解を避け、安心して資産管理を行いましょう。
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