紙の通帳に代わって「通帳レス口座(通帳不発行口座)」を選ぶ人が増えています。金融機関のデジタル化が進む中で、どれだけこの仕組みが普及しているのか、また利用者側にとってのメリット・デメリットはどうなのかを詳しく見ていきましょう。
通帳レス口座とは?
通帳レス口座とは、紙の通帳を発行せず、インターネットバンキングやアプリを通じて取引明細や残高を確認できる仕組みの口座です。各銀行がペーパーレス化の一環として導入を進めており、特に新規開設時にデフォルトで通帳レスが選ばれるケースも増えています。
三井住友銀行・みずほ銀行・三菱UFJ銀行などのメガバンクをはじめ、多くの地方銀行でもこの方式を取り入れており、今では全国的に選択可能な一般的な選択肢となっています。
通帳レス口座の普及状況
2023年時点で大手都市銀行では、個人の新規口座開設の半数以上が通帳レス口座となっており、すでにスタンダードな選択肢になりつつあります。金融庁の資料によると、ネット銀行だけでなく、店舗を持つ銀行でも「紙の通帳は有料化」「デジタル通帳推奨」の動きが加速しています。
例えば、三井住友銀行では2021年4月以降、新規口座で紙通帳を希望する場合には年間550円の手数料がかかるようになりました。これにより、通帳レス口座への移行が進んでいます。
通帳レス口座のメリット
通帳レス口座には、以下のような利点があります。
- アプリやWebで24時間どこでも残高・明細確認が可能
- 紛失や盗難のリスクがなく、セキュリティ面でも安心
- 紙資源の削減になり、環境にやさしい
- 通帳発行の手数料が不要または割安
特にスマートフォンを日常的に使う世代にとっては、紙の通帳を持ち歩く必要がなくなることで、利便性が大きく向上します。
通帳レス口座のデメリットと注意点
一方で、すべての人にとってメリットばかりとは限りません。高齢者やスマートフォンに不慣れな人にとっては、デジタルでの明細確認が難しいと感じる場合があります。
また、通帳がないと、ローン申請時や補助金申請などで「通帳の写し」が必要なケースに対応しにくいという意見もあります。
こうした場面では、代替として取引明細のPDFをダウンロードして提出することができますが、手続きに慣れていない人にはハードルが高いと感じられることもあるでしょう。
紙の通帳とどう使い分けるべきか
金融リテラシーの観点から見ると、「日常使いの口座は通帳レス」「貯蓄用や資産運用口座は紙の通帳」といった使い分けが有効です。普段使いの口座は利便性重視、長期的な記録が必要な口座は紙で管理、と目的に応じて選ぶことができます。
たとえば、定期的な収入や支出の管理をスマホで完結させつつ、老後資金や教育資金の積立には紙通帳のある口座を使っている家庭もあります。
まとめ:通帳レス口座はすでに普及しつつある
通帳レス口座はすでに都市銀行を中心に普及が進んでおり、スマホアプリやネットバンキングを活用する現代の家計管理において非常に便利な仕組みです。一方で、すべての利用者にとって最適とは限らないため、自分のライフスタイルや使い方に応じた選択が重要です。
今後も金融機関のデジタルシフトが進む中で、通帳レスのメリットを活かしつつ、必要に応じた紙の活用も含めた柔軟な家計設計が求められるでしょう。
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