雇用保険の通算に関するルールは、転職や働き方の変更があった場合に重要なポイントとなります。特に一度雇用保険を喪失してから再加入するケースでは、「通算できるのかどうか」が失業給付などの受給要件に大きく影響します。この記事では、1年以内の再加入時に雇用保険の加入期間が通算できるかどうかについて、実例を交えて詳しく解説します。
雇用保険の「通算」とは?基本ルールを確認
雇用保険では、過去の加入期間が現在の加入と「通算」されるケースがあります。通算とは、複数の雇用期間を合算して失業給付などの要件(たとえば被保険者期間12か月以上)を満たすためにカウントすることを意味します。
ただし、前の資格喪失日から1年以内に再度雇用保険に加入した場合に限り、それまでの被保険者期間が通算対象となります。これを「1年ルール」と呼びます。
1年以内の再加入で通算される条件とは
次のような条件が揃っている場合は、過去の雇用保険期間と現在の期間が通算されます。
- 前回の資格喪失日から再加入日までが1年以内
- 前回の雇用保険期間に3か月以上の加入があった
- 失業給付などを受給していない
たとえば、2023年8月末に資格喪失し、2024年9月1日から再度雇用保険に加入した場合、再加入が1年+1日後となるため、厳密には通算できない可能性が高くなります。実際の判断はハローワークが行うため、微妙な日数の場合は事前相談がおすすめです。
「失業給付を受けていない」ことの重要性
失業保険(基本手当)の受給を開始すると、その時点で雇用保険の通算対象となる過去の期間がリセットされます。よって、失業給付を一度も受けていないことは通算において非常に重要な条件です。
受給手続きだけを行って実際に給付を受けなかった場合でも、手続きが完了していれば「受給した」と見なされる可能性があるため注意が必要です。
通算されると何が変わる?メリットを解説
雇用保険の通算によって得られる主なメリットは、次の通りです。
- 失業給付の受給要件を満たしやすくなる
- 給付日数が増える場合がある
- 育児休業給付や介護休業給付の対象になる
たとえば再加入後に半年しか働いていない場合でも、過去に6か月以上加入していれば「12か月要件」を満たし、失業給付の対象になることがあります。
注意点:資格喪失日と再加入日の正確な把握
通算判断のカギは「資格喪失日から1年以内かどうか」です。雇用保険の資格喪失日は原則として退職日(あるいは所定労働時間が週20時間未満になった日)であり、再加入日は労働条件が変更された日です。
この日付が曖昧になっていると、1年を越えてしまい通算が認められなくなることもあるため、会社の担当者やハローワークに確認しておくのが安全です。
まとめ:通算できるかどうかは1年以内かがカギ
雇用保険の加入期間が通算されるかどうかは、資格喪失から再加入までが1年以内であるかが大きなポイントになります。また、失業給付を受給していないことも必須条件です。
雇用保険の取り扱いは複雑であり、ケースによって判断が異なることもあるため、最終的な確認はハローワーク公式サイトや窓口で行うようにしましょう。
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