国民年金の免除と猶予の違いを徹底解説|30代無職・実家暮らしの人が選ぶべき制度とは

年金

国民年金の支払いが難しいとき、「免除」と「猶予」のどちらを選ぶべきか迷う人は多くいます。特に30代で無職、実家暮らしのような状況では、将来の年金受給にも関わるため慎重な判断が必要です。この記事では、国民年金の免除と猶予の制度の違い、追納制度、選び方のポイントについて具体例を交えながら解説します。

国民年金の免除と猶予の基本的な違い

「免除」とは、保険料の納付が困難な場合に申請して認められれば、保険料の一部または全額の納付が免除される制度です。一方「猶予」は、保険料の納付を将来に先延ばしする制度で、あくまで”支払い義務は残る”点がポイントです。

免除には「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」などの種類があり、所得や世帯の状況によって判断されます。猶予は「学生納付特例」と「納付猶予制度」の2種類があり、特に30代無職の方には「納付猶予制度」が該当します。

なお、どちらも申請制で、申請しなければ未納扱いになる点には注意が必要です。

老後の年金受給に与える影響とは

免除と猶予では、将来受け取れる老齢基礎年金への反映に差があります。免除された期間は、年金受給資格期間に算入され、さらに一部は年金額にも反映されます(例:全額免除の場合、保険料納付済期間の1/2が反映)。

一方、猶予期間は年金受給資格期間には含まれますが、年金額には反映されません。ただし、どちらも10年以内であれば「追納」が可能で、追納すればその期間は保険料納付済期間として満額反映されます。

したがって、将来的に追納を予定している場合は、どちらを選んでも年金額に差が出ない可能性があります。

世帯主が父親の場合の注意点

納付猶予制度の審査対象は「本人・配偶者」までで、親の所得は考慮されません。一方、免除制度は「本人・配偶者・世帯主」の所得が審査対象となります。したがって、世帯主が父親でその所得が多い場合、免除が認められない可能性があります。

例えば、実家で暮らしており世帯主が年収800万円の父親であった場合、たとえ本人の所得がゼロでも、免除申請は却下される可能性が高いです。こうした場合は、世帯分離をして世帯主を自分にすることで、免除申請のハードルを下げる選択肢もあります。

一方、猶予制度であれば、父親の収入は審査に影響しないため、申請が通る可能性が高いという利点があります。

追納の仕組みと注意点

免除・猶予ともに、10年以内であれば「追納」が可能です。追納すれば、その期間分の年金額が将来に反映されるため、老後の備えとして有効です。

ただし、追納は古い期間から順に行う必要があり、過去2年度分以外は加算金(延滞金)が上乗せされます。例えば、2022年度の免除分を2025年度に追納する場合、加算金が発生する可能性があります。

追納するなら、できるだけ早めに対応することで、加算金の負担を抑えられます。また、一度追納した分は取り消せないため、生活に無理のない範囲での計画が大切です。

ケース別:どちらを選ぶべきか

ケース1:親と同居・世帯主が父親・無収入
この場合、免除の申請は通りにくく、猶予の方が現実的です。追納を予定しているなら、年金額への影響も少ないため猶予で問題ありません。

ケース2:親と別居・世帯主は自分・無収入
この場合は免除の審査も通る可能性があるため、免除を優先的に検討しても良いでしょう。全額免除が通れば、追納しなくても年金額の半分が反映されるというメリットがあります。

ケース3:扶養に入っている・収入が不安定
どちらの制度も検討可能ですが、親の所得が影響しない猶予の方が通りやすく、柔軟性も高いです。

まとめ:追納を前提にするなら猶予も有効な選択肢

国民年金の「免除」と「猶予」は、それぞれに特徴があり、生活状況に応じて使い分けることが重要です。追納を予定しているのであれば、猶予でも老後の年金額に差が出ない可能性が高いため、特に親の所得が高く免除が通りにくい場合には猶予が有効です。

ただし、どちらも未申請のままだと「未納」となり、将来に大きな影響を及ぼします。必ず制度を利用して年金記録を残すようにしましょう。将来の安心のためにも、早めの対応と継続的な見直しをおすすめします。

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