障害年金で生活している方が、臨時的に企業などから報酬を受け取る場合、税金や源泉徴収についての取り扱いに疑問を感じることもあるでしょう。特に「収入は年金だけなのに、なぜ源泉徴収されるのか?」といった声はよく聞かれます。この記事では、障害年金と別に収入が発生した際の税務上の扱いについて、基本的な仕組みと注意点をわかりやすく説明します。
障害年金自体は非課税だが、報酬は課税対象
まず前提として、障害年金そのものは非課税であり、通常は確定申告や源泉徴収の対象にはなりません。しかし、年金以外で報酬(たとえば原稿料、講演料、デザイン代など)を受け取る場合、それは「雑所得」または「事業所得」などの対象となり、所得税の源泉徴収が必要になることがあります。
たとえば、企業から一時的に5万円の報酬を得た場合、支払う側は「報酬・料金等の支払調書」をもとに10.21%の源泉所得税を天引きして国に納付する義務があります。これは支払側の義務であり、受け取る側の所得の種類や生活状況に関わらず実行されます。
源泉徴収が義務となるケースとは
税法上、個人が法人から原稿料、講演料、翻訳料、指導料などの対価を受け取る場合、その金額がいくらであっても、法人側には源泉徴収の義務があります。これは障害者であっても例外ではありません。
報酬の金額が1回あたり5万円など少額でも、源泉徴収の対象となるため、4,895円(10.21%)が天引きされ、手取りは45,105円となります。これは会社側の判断ではなく、法律に基づいた義務であるため、「徴収しなくてもよい」という対応は原則できません。
確定申告をすれば還付される場合もある
年収が一定額以下の場合、源泉徴収された税金は、確定申告を通じて還付を受けることが可能です。たとえば、報酬が年に数万円のみで、その他に課税所得がない場合、申告することで全額戻ってくる可能性もあります。
また、障害者控除や基礎控除が適用される場合には、さらに還付される可能性が高くなります。市区町村の無料税務相談や税理士会による障害者向けのサポート窓口も活用してみましょう。
報酬の内容によっては非課税扱いとなることも
まれにですが、対価ではなく「実費弁償(交通費や宿泊費など)」としての支払いであれば、課税対象とならない場合があります。しかしその判断は支払側と税理士の確認が必要であり、自主的に「これは報酬ではない」と主張しても通らない可能性が高いです。
また、福祉的な配慮として支払われる報奨金や謝礼金であっても、金額や内容によっては課税対象になることがあるため、注意が必要です。
まとめ
障害年金を受けている方が一時的に報酬を得た場合、その金額が少額であっても法人からの支払いであれば源泉徴収の対象となるのが一般的です。これは会社が守るべき法的義務であるため、免除を求めることは現実的ではありません。ただし、確定申告をすれば還付を受けられるケースも多いため、損をしないためにも申告手続きを忘れずに行いましょう。
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