配偶者を亡くした後の生活を支える重要な制度「遺族年金」ですが、その給付期間について「5年で打ち切り」との声を見かけることがあります。この情報には一部誤解も含まれており、制度の正しい理解が必要です。本記事では遺族年金の仕組みや打ち切りの誤解、将来に向けた備えについて詳しく解説します。
遺族年金の基本制度とは?
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金加入歴や遺族の構成によって支給内容が異なります。遺族基礎年金は18歳未満の子がいる配偶者が対象となり、子がいなくなると支給終了となります。一方、遺族厚生年金は条件により配偶者に継続して支給される可能性があります。
特に誤解されやすいのは、子どもがいない配偶者(妻や夫)に対する遺族厚生年金の「5年間の中高齢寡婦加算」についてです。
「5年で打ち切り」の誤解とは?
よくある誤解は、「遺族年金が5年で打ち切られる」という表現です。これは、中高齢寡婦加算が60歳〜65歳の5年間だけ加算される制度による誤認です。この加算は、遺族厚生年金の受給者が40歳〜65歳の妻で子どもがいない場合に、60歳から65歳の間に受け取れる追加支給です。
つまり「5年で完全に遺族年金がなくなる」のではなく、加算部分のみが終了し、その後も基本的な遺族厚生年金の支給は続きます。
実際に受け取れる金額と期間の例
例えば、55歳で夫を亡くした専業主婦のケースを考えましょう。遺族基礎年金は子がいなければ支給されず、遺族厚生年金は60歳以降から中高齢寡婦加算付きで支給が始まります。65歳からは老齢基礎年金の受給が始まるため、加算は終了しますが、遺族厚生年金はそのまま終身で支給されます。
また、支給開始前の55歳〜59歳の5年間については、別途準備しておく必要があります。
生活に不安を感じたときの支援制度
5年間の無収入期間や年金額の少なさが不安な場合、いくつかの公的支援制度を活用できます。たとえば、生活福祉資金貸付制度や、自治体による就労支援、住民税の減免措置などです。
また、遺族年金以外にも死亡退職金や生命保険など、収入源の見直しや家計管理も大切です。
将来に備えてできること
遺族年金だけに依存せず、老後や遺族の生活を守る備えが必要です。具体的には、iDeCoや個人年金保険への加入、ライフプランの見直し、パートや副業などでの収入確保も選択肢となります。
遺族年金は大切な制度ですが、十分とは言い切れないため、公的年金+αの備えが心強い味方になります。
まとめ|遺族年金の「打ち切り」は制度上の加算終了
「5年で打ち切り」とされる遺族年金の話は、中高齢寡婦加算に関する制度の一部分です。遺族厚生年金そのものが終わるわけではなく、基本的には終身支給されます。
大切なのは制度の仕組みを正しく理解し、不足分をどう補うかを事前に考えておくことです。不安があれば社会保険労務士など専門家への相談も検討してみましょう。
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