国民健康保険は世帯単位で加入・課税される仕組みになっているため、夫婦それぞれの所得に応じて個別に負担割合を知りたいという方は少なくありません。特に、年金の受給を繰下げている世帯主と、既に年金受給中の配偶者とで保険料の引き落とし口座が分かれる場合には、家庭内での負担調整が必要になることも。本記事では、そうしたケースに対応するための保険料計算方法や注意点をわかりやすく解説します。
国民健康保険料は世帯合算で決まる仕組み
国民健康保険では、加入者一人ひとりに保険料が課されるものの、実際の請求は「世帯単位」でまとめて行われます。したがって、夫婦でそれぞれ加入している場合でも、世帯主の口座からまとめて保険料が引き落とされるのが一般的です。
ただし、今回のように世帯主が厚生年金の繰下げ中で年金から引き落とせない場合、代わりに配偶者(妻)の年金から保険料が徴収されることがあります。
保険料の計算は前年の所得が基本
国民健康保険料の計算に用いられるのは、基本的に前年1月〜12月の所得です。確定申告書や源泉徴収票があれば、保険料の計算に使う金額がわかります。
今年の収入見込みは、途中加入や転入の場合などに影響するケースはありますが、通常は使われません。
夫婦それぞれの保険料を按分する方法
世帯合算の保険料を個別に分けて知りたい場合は、市区町村役所や保険年金課に「被保険者ごとの保険料試算」を依頼することが可能です。一部の自治体では、口頭での相談だけでも計算結果を教えてくれます。
もし自分で試算したい場合は、以下のような手順になります。
- ①前年の所得をそれぞれ確認(確定申告書・年金通知書など)
- ②自治体のホームページにある「保険料試算ツール」や計算式を活用
- ③所得割・均等割・平等割を合算し、世帯合計保険料と突き合わせる
例:夫の所得=0円(繰下げ中)、妻の年金収入=120万円
この場合、妻の所得にだけ保険料が課されている可能性が高く、実質的には妻の保険料が大半を占めていることになります。
保険料の負担方法を家庭内で調整するには
夫婦間で保険料の負担を明確に分けておきたい場合、夫の分だけを計算して現金で妻に渡す方法は理にかなっています。市区町村での試算結果を元に「夫の負担額はいくら」と確認したうえで、現金で清算するのがよいでしょう。
なお、自治体によっては、世帯主が年金受給していなくても個別引き落としの相談に応じてくれるケースもあるため、詳しくは役所に確認してみましょう。
まとめ:確定申告書があれば保険料の個別試算は可能
国民健康保険料は世帯単位で徴収されますが、個別に算出することも可能です。前年の所得情報(確定申告書など)を元に市区町村へ相談すれば、夫婦それぞれの負担額を明確にすることができます。
保険料の引き落とし口座が妻の年金になる場合でも、家庭内で負担を調整するために夫の分を現金で渡すという対応は一般的です。必要に応じて市区町村の保険窓口で正確な試算を依頼してみましょう。
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