会社員として働いていると、毎年のように耳にする「月額変更届」や「算定基礎届」。特に昇給があった場合、保険料がどのタイミングで変更になるのかは、給与明細や家計にも影響する重要なポイントです。この記事では、4月に昇給があったケースを例に、どのように社会保険料が変更されるのかを詳しく解説していきます。
月額変更届とは?
「月額変更届(随時改定)」は、給与が一定額以上変動したときに、社会保険料の等級(標準報酬月額)を見直すために提出する届出です。健康保険・厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額に基づいて決まるため、昇給や減給があると見直しが必要になります。
一般的に、給与に大きな変動があり、それが3か月間続いた場合、4か月目から保険料が変更となります。この制度が「随時改定(月額変更)」と呼ばれる理由です。
昇給があった場合の提出と反映の時期
今回のケースでは、4月に昇給があったということなので、4月・5月・6月の3か月分の給与が対象となり、その平均額をもとに等級が再計算されます。そして、月額変更届の提出は7月に行い、新しい保険料は9月支給分の給与(8月分の報酬)から反映されるのが原則です。
具体的に、給与締日が「月末締め・翌月20日払い」であれば、4月の給与は5月20日支給、6月分の報酬が7月20日に支給され、これら3か月の支給実績で判断されます。
算定基礎届と月額変更届の違いとは?
「算定基礎届」は、毎年7月に提出する定例の届出で、前年4月~6月に支給された給与額を基に、その年の9月以降の保険料を決定します。一方、「月額変更届」は給与が大きく変動した場合に都度提出するものです。
つまり、4月に昇給して月額変更届が提出された場合でも、算定基礎届の対象期間と重なっていれば、結果的に9月からの等級が同じになることもあります。
「月額変更」と「算定基礎」はどちらが優先?
もし4月・5月・6月で給与変動が発生して月額変更の要件を満たしている場合、通常は月額変更届を提出して随時改定が先に適用されます。そして、算定基礎届の内容と重複する場合でも、原則的には「随時改定が優先される」のがルールです。
ただし、ケースバイケースで年金事務所や健康保険組合の取り扱いが異なることもあるため、届出を行う際には具体的な事例を元に確認しておくことが大切です。
企業側が注意すべき実務ポイント
人事・給与担当者としては、以下のような点に注意しましょう。
- 昇給があった場合は、該当者の3か月の報酬平均をしっかり管理する
- 月額変更届の提出は「7月中」が期限(8月以降では反映が遅れる)
- 算定基礎届との重複を避けるため、要件該当者をリスト化しておく
給与計算システムやタイムカードなどで報酬データを自動集計しておくと、提出漏れの防止にも役立ちます。
まとめ:月額変更届は昇給時の重要手続き、9月からの保険料に影響
4月に昇給した場合、月額変更届の提出は7月、反映は9月からという流れになります。算定基礎届と時期が重なる場合もありますが、基本的には随時改定が優先されるため、正しい判断が求められます。
特に、給与の締日や支払日によっても取り扱いが変わるため、企業ごとの給与体系をしっかり理解したうえで運用していくことが、保険料の正確な計算とトラブル回避につながります。
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