自動車保険には「等級制度」があり、事故や保険金の請求によって等級が下がる仕組みがあります。しかし、一定の条件を満たすと「事故有係数適用期間」が終了し、等級が回復することも。本記事では、複数回保険を使った場合の等級の戻り方について、わかりやすく解説します。
等級制度の基本:無事故なら毎年1等級アップ
自動車保険では、契約者の事故歴に応じて「ノンフリート等級」が決まります。基本的には1年ごとに1等級ずつアップし、保険料が割引されていきます。最初は6等級からスタートし、最大で20等級まで存在します。
事故を起こし保険を使用すると、通常は3等級下がることになり、その後は「事故有係数適用期間」として、最大3年間、割引率が大きく下がります。
複数回保険を使うと等級回復はどうなる?
たとえば、前年8月に保険を使用し、今年6月に再び使った場合、直近の事故から3年間は事故有係数が適用される仕組みになります。つまり、2回目の保険使用日を起点として、等級の回復までのカウントがリセットされるわけです。
これは「事故が発生するたびに3年の事故有係数期間が加算される」ためで、保険料が高止まりするリスクもあります。
具体例:2回保険を使った場合の等級の流れ
例として、下記のようなスケジュールを考えてみましょう。
- 2023年8月:等級15 → 保険使用 → 等級12(事故有1年目)
- 2024年6月:再び保険使用 → 等級9(事故有2回目、ここから3年カウント)
- 2025年〜2027年:事故有期間継続 → 保険料高めのまま
- 2028年:事故有期間終了 → 等級12程度に回復
このように、2回目の事故以降はそこから3年が再カウントされるため、早く保険を再利用すると、それだけ等級回復が遅れることになります。
事故の種類によって異なる等級の下がり方
すべての保険使用が等しく等級に影響するわけではありません。以下のようなケースでは、等級が下がらないこともあります。
- 飛び石や災害などの「免責事故」
- 車両保険を使用せず、相手のみ補償した「一部の対物事故」
- 盗難などで、特約適用の対象になるもの
等級ダウン事故かどうかは、保険会社からの「事故内容確認通知書」などで明記されます。
等級回復を早める方法はあるのか?
基本的に等級の回復は「時間経過による自動的な回復」のみで、任意に早めることはできません。ただし、次のような工夫は保険料の節約に寄与します。
- 「セカンドカー割引」を活用する
- 家族間の等級引き継ぎ(名義変更)
- 走行距離や使用頻度に応じた保険会社の見直し
また、「無事故期間」が長く続けば、等級も徐々に回復していくため、安易な保険使用は避けるのが賢明です。
まとめ:保険を使う時期が等級回復を左右する
自動車保険における等級の回復は、保険を最後に使った日から起算して3年が目安になります。複数回の事故があると、その都度リセットされるため、保険使用のタイミングは慎重に判断しましょう。保険会社に等級のシミュレーションを依頼するのもおすすめです。
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