パートやアルバイトで働く人にとって「週に20時間以上働いたら社会保険に入らないといけない」という話はよく耳にします。しかし、「1ヶ月のうち1週間だけ20時間を超えたら加入しなきゃいけないのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入要件や、週20時間の判断基準についてわかりやすく解説します。
社会保険の加入基準とは?
社会保険への加入が義務付けられる基準は、以下の5つの条件すべてを満たす場合です(2022年10月改正基準)。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上
- 勤務期間が2ヶ月を超える見込み
- 学生ではないこと
- 勤務先の従業員数が常時101人以上(2024年10月からは51人以上に拡大)
この中で特に誤解が多いのが「週20時間以上かどうか」の判断方法です。
週20時間以上の判断は「契約ベース」で行われる
週20時間の基準は「実際に働いた時間」ではなく、「雇用契約上の所定労働時間」で判断されます。つまり、「1週間だけたまたまシフトが多かった」というような一時的な超過は、社会保険の加入義務には基本的に該当しません。
たとえば、雇用契約書に「1日4時間・週5日勤務(計20時間)」と記載されていれば、社会保険の加入対象になります。しかし「週3日・1日5時間=15時間」の契約で、一時的に週5日働いたとしても、基本的には加入の対象にはなりません。
実例で確認:どんなケースが加入対象になる?
以下に、よくある勤務例を挙げて社会保険の扱いを比較してみましょう。
勤務形態 | 所定労働時間 | 加入対象? |
---|---|---|
週5日・1日4時間(計20時間) | 契約上20時間 | 加入対象 |
週3日・1日5時間(計15時間) | 契約上15時間 | 加入対象外 |
契約は週3日×5時間だが、繁忙期で週25時間働いた | 契約上15時間 | 加入対象外 |
契約更新時に週4日×5時間(計20時間)に変更 | 契約上20時間 | 加入対象(以後) |
このように、「1週間だけ20時間を超えた」だけでは原則として社会保険の加入義務は発生しません。
会社側が加入を求める場合もあるので要注意
ただし、雇用契約書に「週20時間以上働く可能性あり」と書かれている、あるいは「実質的に長時間勤務が常態化している」場合など、会社側の判断で社会保険への加入を求められるケースもあります。
また、労働条件通知書に明記されている契約内容と、実際の労働時間に乖離がある場合は、トラブルを防ぐためにも契約内容の見直しや再確認をおすすめします。
「週20時間以上」と見なされる場合の具体的対応
自分の契約が加入条件に該当するか曖昧な場合、以下のような対応を取ると安心です。
- 雇用契約書や労働条件通知書を確認
- 勤務実績が契約と大きく異なる場合は、上司や人事に相談
- 将来的に週20時間以上になる予定があるか確認
- 社会保険料がどれくらいかかるか試算しておく
たとえば、月額賃金88,000円ちょうどで社会保険に加入すると、保険料として毎月1万円前後が控除されることになります(自治体によって差あり)。
まとめ:週20時間超の判断は「1週間だけ」ではなく「契約ベース」で
社会保険の加入基準となる「週20時間以上」は、その週の実働時間ではなく、あくまで雇用契約に基づいた所定労働時間で判断されます。そのため、1ヶ月のうち1週間だけ20時間を超えた場合でも、契約上が20時間未満であれば原則として加入義務はありません。
しかし、今後契約が変更される予定がある、あるいは勤務実績が継続的に基準を超える場合は、早めに確認・対応しておくことが重要です。不安な場合は、会社の人事担当や年金事務所に相談するのも一つの手です。
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