社会保険の標準報酬月額はどう決まる?転職・再就職時の保険料が変わる理由と仕組み

社会保険

転職や退職を経て再び就職・パート勤務などに就くと、気になるのが社会保険料の金額です。前職と同じ給与水準でなくても、同じような保険料になるのか、それとも新しい職場の収入で再計算されるのか――。今回は「標準報酬月額」の基本と、再就職時の社会保険料の決まり方について詳しく解説します。

標準報酬月額とは何か?社会保険料の計算基準

社会保険料(健康保険・厚生年金)は、実際の給与額ではなく「標準報酬月額」という区分に基づいて計算されます。標準報酬月額は、月収をある一定の等級に当てはめた金額で、全国健康保険協会(協会けんぽ)などで定められています。

例えば、月収が21万円なら標準報酬月額は20万円、月収が28万円なら28万円など、給与額に応じた等級により毎月の保険料が決定します。

退職後に再加入した場合、保険料はどう決まる?

社会保険に再度加入した際、以前の標準報酬月額は引き継がれません。新しい勤務先での実際の給与を基準に標準報酬月額が再決定されます。

具体的には、就職後1~2か月の給与支払い実績をもとに「算定基礎届」や「月額変更届」が提出され、保険料の基礎が確定します。したがって、前職で月収30万円だった方が、新しい職場で月収15万円の場合、その収入に見合った標準報酬月額で保険料が算出されます。

社会保険に加入する条件とは?アルバイトやパート勤務の場合

短時間勤務であっても、以下の条件を満たすと社会保険への加入義務が生じます。

  • 週20時間以上の勤務
  • 月収8.8万円(年収106万円)以上
  • 勤務期間が1年以上見込み
  • 従業員数101人以上の会社
  • 学生でない

これらの条件を満たした場合、パートやアルバイトでも健康保険と厚生年金に加入し、給与から保険料が天引きされます。

再就職の給与が変動する場合の保険料調整「随時改定」とは

再就職後の給与が当初と大きく変わる場合、「随時改定(月額変更)」という制度が適用されます。これは、3か月連続で月収が大きく変動した場合に、標準報酬月額を見直す仕組みです。

たとえば、最初の3か月間は月収15万円、その後月収25万円になった場合、4か月目以降は標準報酬月額が引き上げられ、社会保険料が増加することになります

例:3月末退職後にパート就業した場合の標準報酬月額の流れ

たとえば、3月末で退職し、5月から月収12万円のパートに就いた場合。

  • 前職の標準報酬月額(例:28万円)はリセット
  • 5月~7月の給与実績をもとに標準報酬月額が新たに決定(例:12万円)
  • これに基づいて健康保険・厚生年金の保険料が計算される

なお、新しい職場が社会保険の加入条件を満たしていない場合は、国民健康保険・国民年金を継続することになります。

まとめ:再就職時の保険料は収入に応じて再計算される

社会保険料は、退職前の収入ではなく、再就職先での実際の給与に基づいて新たに算出されます。過去の勤務先での標準報酬月額は関係ありません。

パートやアルバイトでも、加入条件を満たせば社会保険に加入し、給与額に応じた標準報酬月額で保険料が決まります。不安な場合は勤務先の総務や社会保険労務士に相談し、正しい情報で安心して就業しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました