厚生年金の保険料は何に基づいて決まる?基本給だけじゃない「標準報酬月額」の正しい理解

社会保険

厚生年金保険料は、給与から自動的に引かれるため、その仕組みを意識せずに働いている方も多いでしょう。しかし、実際には「何が保険料の対象になるのか?」を正しく知っておくことは、手取りや将来の年金額にも影響する重要な知識です。この記事では、厚生年金保険料の算出に使われる基準である「標準報酬月額」について、基本給や各種手当との関係を交えて詳しく解説します。

厚生年金の保険料は「標準報酬月額」に基づいて決まる

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与に応じた「標準報酬月額」と「標準賞与額」によって決まります。この「標準報酬月額」は、単なる基本給ではなく、一定期間に支払われるすべての報酬を合算して算出されるものです。

つまり、給与明細に記載されている「基本給」のみならず、各種手当や通勤費なども保険料の対象になる可能性があるということです。

報酬に含まれるもの・含まれないもの

厚生年金保険において「報酬」とされるのは、現物支給を含む「労働の対価として会社から受け取るすべての金銭・物品」です。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 基本給
  • 役職手当、資格手当
  • 住宅手当、家族手当
  • 通勤手当(非課税限度内も含む)
  • 残業手当、深夜手当
  • 食事手当(現金支給の場合)

一方、以下のようなものは含まれません。

  • 出張旅費や実費精算
  • 退職金(退職後に支給されるもの)
  • 慶弔見舞金
  • 業務に関係しない贈与的な金銭

事例:基本給15万円+諸手当5万円の場合

たとえば、ある従業員の給与が「基本給15万円+住宅手当2万円+通勤手当1万円+皆勤手当2万円」で構成されていた場合、月額報酬の合計は20万円となります。この20万円が「標準報酬月額」の算定のもとになります。

この合計額を基準として、日本年金機構が定める標準報酬等級(1等級〜50等級)に当てはめられ、該当する等級に基づいて保険料が決まります。

標準報酬月額はどうやって決まるのか?

原則として、4月・5月・6月の3カ月間に支給された報酬の平均額をもとに、7月に「定時決定(算定基礎届)」が行われます。これによって、その年の9月から翌年8月までの保険料が決まる仕組みです。

また、昇給や降給など大きな変動があった場合は「随時改定(月額変更届)」の対象となり、標準報酬月額が見直されることもあります。

注意:通勤手当の非課税範囲でも保険料には含まれる

通勤手当には税制上の非課税限度額(月15万円まで)がありますが、厚生年金保険料の算出ではこの非課税かどうかは関係ありません。あくまで「会社から支給された報酬」としてカウントされるため、課税対象かどうかとは切り離して考える必要があります。

つまり、非課税の通勤手当も標準報酬月額の一部として含まれます。

まとめ:厚生年金保険料の基準は「総支給額ベース」である

厚生年金保険料は「基本給」のみならず、通勤手当・住宅手当・残業代なども含めた総支給額をベースに算出されます。その合計額をもとに標準報酬月額が決まり、それに応じた保険料が決定される仕組みです。

給与明細を確認する際は、「手当だから関係ない」と思わず、全体でいくら支給されているかに注目しましょう。将来の年金額にも直結する大切な要素ですので、正しい理解を持っておくことが大切です。

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