不動産を売却したら所得税は増える?給与所得者が知っておきたい譲渡所得課税の基本

税金

不動産を売却すると利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になります。特に給与所得者にとっては、日頃の源泉徴収や年末調整ではカバーされない部分であるため、確定申告が必要になるケースもあります。この記事では、不動産売却によって所得税がどう増えるのか、仕組みや控除制度、注意点まで詳しく解説します。

譲渡所得とは?給与所得とは別に課税される

譲渡所得とは、土地や建物などの資産を売却して得た利益のことです。この利益は「分離課税」として、給与所得とは別に計算されます。給与と合算して税率が変動する「総合課税」とは異なり、一定の税率で独立して課税されます。

つまり、給与所得がいくらであっても、譲渡所得の税額には直接影響しませんが、所得税と住民税はそれぞれ加算されるため、結果的に支払う税額は増加します。

課税対象となる譲渡所得の計算方法

譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除

・取得費…購入時の価格+仲介手数料や登記費用など
・譲渡費用…売却にかかった仲介手数料や測量費など
・特別控除…居住用不動産なら最大3,000,000円

例えば2,500万円で購入した住宅を3,000万円で売却し、諸費用が計200万円だった場合、譲渡所得は次の通りです。

3,000万円 -(2,500万円+200万円)= 300万円 → 3,000,000円の特別控除を適用すれば、課税譲渡所得は0円

税率は保有期間で変わる「短期」と「長期」

譲渡所得の税率は、売却した不動産の保有期間により異なります。

保有期間 所得税 住民税 合計
5年以下(短期) 30% 9% 39%
5年超(長期) 15% 5% 20%

保有期間は「譲渡した年の1月1日時点」で判断されるため、注意が必要です。

確定申告が必要なケースと準備すべき書類

給与所得がある方でも、譲渡所得が発生した場合は基本的に確定申告が必要です。会社員で年末調整を受けている場合でも例外ではありません。

必要となる主な書類は以下の通りです。

  • 売買契約書(売却・購入の両方)
  • 登記事項証明書
  • 仲介手数料の領収書
  • 譲渡費用に関する領収書類
  • マイナンバーカード・本人確認書類

確定申告書B、分離課税用の第三表なども作成が必要です。

税額がゼロになるケースもある

実際には「マイホームの3,000,000円特別控除」や、10年以上所有していた場合の軽減税率の特例により、譲渡所得があっても税額がゼロになることがあります

また、損失が出た場合は「損益通算」や「繰越控除」の制度により、翌年以降の所得税を軽減することも可能です。

まとめ:譲渡所得は給与と別に課税されるが税負担には注意

・不動産売却で利益が出れば「譲渡所得」として課税される
・給与所得と合算ではなく「分離課税」で独立して計算される
・保有期間や控除制度によって税額は大きく異なる
・確定申告が必須で、必要書類の準備も忘れずに
・税額がゼロになる場合もあるが、ケースに応じたシミュレーションが重要

税務署や税理士に相談することで、節税の可能性を見逃さずに済むでしょう。

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