車にできた擦り傷や軽度の損傷を自動車保険で修理できるという話はよく聞きます。実際に初回の修理であれば「無料のように見える」ケースもありますが、保険を使うことで将来の保険料に影響が出ることがあるため、注意が必要です。本記事では、自動車保険で擦り傷の修理を行う際のメリットとデメリット、等級制度の仕組みなどをわかりやすく解説します。
そもそも「保険で修理無料」という言葉の意味
「無料」というのはあくまでその場で自己負担が発生しないという意味で、保険会社が修理費用を負担してくれるという仕組みです。しかし、保険を使うことによって翌年以降の保険料が上がるケースがあるため、結果的には損をすることもあります。
たとえば、数万円の修理費を保険で支払ってもらっても、保険等級が下がって保険料が数年間高くなることで、最終的に支払額が修理費を上回ることがあります。
自動車保険の等級とは?
自動車保険には「ノンフリート等級制度」があり、通常は新規加入時に6等級からスタートします。事故歴がなければ毎年1等級ずつ上がり、保険料が割引されていきます。
しかし、保険を使って修理をすると多くの場合、等級が「3等級ダウン」します。つまり保険料が大幅に上がり、さらに事故あり割増(事故有係数)も加算されるため、翌年以降の保険料は高くなってしまいます。
等級が下がるのはどんなケース?
- 車両保険を使って自分の車を修理したとき
- 単独事故(電柱や壁にぶつけた等)で保険を使ったとき
- 当て逃げや自損事故で保険を使ったとき
これらのケースでは「過失割合がない事故」であっても保険使用によって等級が下がります。つまり、たとえ軽い擦り傷であっても保険を使えば等級が下がるリスクがあります。
こんな場合は保険使用を検討してもよい
1. 修理費が高額なとき
修理費用が10万円以上かかる場合など、自己負担が難しいときには保険の利用も選択肢になります。たとえば、バンパー交換や板金塗装が必要な損傷です。
2. 長期的に車を乗らない予定があるとき
しばらく車に乗らない、もしくは近いうちに保険を解約する予定がある場合は、等級が下がっても大きな影響を受けにくいため、保険を使うメリットがあるかもしれません。
保険を使わず修理する場合の選択肢
1. ディーラーや整備工場での実費修理
見積もりをとった上で、数万円程度なら実費で修理する方が長期的にはお得なケースが多いです。
2. デントリペアや格安鈑金店を利用
軽度な傷であれば、1~2万円で修理してくれる格安業者も存在します。「車 修理 安い ○○市」などで検索すると地域の工場が見つかるでしょう。
まとめ:保険を使う前に「長期的な損得」を考えよう
車の擦り傷程度であっても保険を使えば等級が下がり、数年間にわたって保険料が高くなります。目先の修理費だけで判断するのではなく、将来的な保険料の増額までを含めて検討することが大切です。
保険を使うか迷った場合は、まず保険会社や代理店に相談し、見積もりと将来の保険料を試算してもらいましょう。それにより、自費での修理と保険使用のどちらが自分にとってメリットがあるかが明確になります。
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