「給料じゃなく小遣いだから税金はかからない」は本当か?事業者が知っておくべき税務リスクと正しい知識

税金

友人や知人との会話で「給料じゃなくて小遣いだから税金がかからない」といった発言を耳にすることがあります。特に小規模な会社を共同で立ち上げた場合や身内だけで経営している場合にこうした誤解が起こりがちです。しかし、この認識には重大な税務リスクが潜んでいます。本記事では、このような「給料ではないから非課税」という考えが、実際にどのような問題を生む可能性があるのかを解説します。

「小遣い=非課税」という誤解の危険性

「小遣いとして受け取っている」という言い方をしても、実質的に対価性のある継続的な収入であれば、それは税法上「給与」または「事業所得」などとして課税対象になります。

たとえば、会社の経費から毎月40万円を「小遣い」として受け取っている場合、それが経営上の関与や労務提供に対するものであれば、原則として給与所得とみなされ、源泉徴収や所得税申告が必要です。

税法上は「名目」より「実態」が優先される

税務においては「小遣い」という名称が重要なのではなく、その支払いの性質(報酬か、贈与か、立替かなど)が問われます。

法人から個人への定期的な支払いがある場合、以下のように分類される可能性があります。

  • 労務の対価 ⇒ 給与所得
  • 役員の報酬 ⇒ 役員報酬(源泉徴収対象)
  • 事業の成果分配 ⇒ 事業所得 or 配当

仮に税務調査で「これは報酬だ」と判断されれば、所得税、住民税、さらには追徴課税まで発生する恐れがあります。

脱税リスクとそのペナルティ

税務署は、こうした「実質的な報酬を無申告」にしている事例を脱税とみなすことがあり、無申告加算税(最大20%)や重加算税(最大40%)が課せられる可能性があります。

また、法人側も「架空経費」「交際費の過大計上」として否認されれば、法人税の追徴対象にもなります。

正しい処理方法とは?

たとえ親しい間柄でも、会社から定期的にお金を受け取る場合は給与や報酬として明確に処理する必要があります。

もしその人が役員であるなら、役員報酬として定款や株主総会での決議に基づいた金額で支給しなければなりません。これに違反した支払いは損金不算入になる場合があります。

実際の事例:小規模会社での「お小遣い」扱い

実際にあった事例として、従業員2名の合同会社で、毎月30万円を代表に「生活費」として渡していたところ、税務調査で「役員報酬」認定され、3年分の源泉徴収漏れと加算税、延滞税が課されたというケースがあります。

このように、「小遣い」のつもりでも税法上は報酬とみなされるリスクが極めて高いのです。

まとめ:税務上の処理は慎重に。小規模経営者こそ注意が必要

月40〜50万円の収入があるにもかかわらず「小遣い扱いだから税金がかからない」と考えるのは危険です。名目ではなく実態で判断されるのが税務の原則です。

法人経営者やその関係者は、税務リスクを正しく理解し、給与・報酬の処理を明確に行うことが大切です。あいまいな処理は、後々大きなトラブルを招く可能性があります。

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