大切な人が亡くなったとき、遺族には年金や財産の受け取りといった「相続」の問題が発生します。なかでも混同されやすいのが、遺族年金と財産相続の違いです。本記事では、遺族年金の仕組みや、誰がどのように受け取れるのか、相続との違いを分かりやすく説明します。
遺族年金とは?相続財産ではない公的給付
遺族年金とは、亡くなった方が加入していた年金制度(厚生年金・国民年金など)に基づき、遺された遺族が一定の条件を満たした場合に受け取れる公的給付です。
重要なのは、遺族年金は「相続財産ではない」という点です。つまり、遺族年金は相続人で分割するものではなく、国が定める条件に基づいて誰が受け取るかが決まっています。
誰が受け取れる?遺族年金の受給順位
公的年金における遺族年金(特に遺族厚生年金や遺族基礎年金)は、以下のような優先順位に基づいて受給権者が決まります。
- 配偶者(主に妻)
- 子ども(18歳未満や障害がある場合)
- 生計を同一にしていた父母、孫、祖父母
例えば、配偶者がいる場合は原則として配偶者が受け取ります。成人した子どもは対象外となるため、質問のように「独立した子が2人いる」ケースでは、配偶者(つまり妻)のみが受給対象となります。
企業年金・共済年金の場合の扱い
企業年金(厚生年金基金や企業型確定給付年金など)や共済年金についても、企業側の制度によって遺族給付がある場合があります。ただしこの場合も、相続財産として分割するものではなく、受給者が指定されているケースが多いです。
受給者が指定されていない場合でも、制度上のルールで配偶者が第一受給者とされることが一般的です。具体的な制度内容については、勤務先または企業年金連合会・共済組合などに確認が必要です。
相続財産とは?年金との違いを明確に
相続財産とは、故人が遺した預貯金・不動産・株式・自動車などの所有財産を指します。これに対して遺族年金は、故人の死亡を要件として国(または企業)が支払う給付金であり、財産とは区別されます。
そのため、遺族年金は「相続分で3人で分ける」といった考え方の対象外です。受給者が確定しているため、遺族間での話し合いや遺産分割協議に含める必要はありません。
具体例:配偶者+独立した子が2人の場合
質問にあるように、「配偶者と、独立した子どもが2人」という構成の場合、公的な遺族年金の受給対象は原則として配偶者のみとなります。成人して独立した子どもは、遺族年金の対象外です。
そのため、遺族年金は3人で分けるものではなく、配偶者が単独で受け取ることになります。子どもたちは遺族年金の受給権者ではありません。
まとめ:遺族年金は分割対象ではない
遺族年金は「相続財産」ではなく、「公的・私的年金制度に基づいた遺族給付」であり、国の制度または企業の制度に従って受給者が決まっています。遺族年金を相続財産のように遺族全員で分ける必要はありません。
故人が遺した遺族年金の取り扱いについて不明点がある場合は、最寄りの年金事務所や勤務先の人事部門、企業年金の窓口などに早めに確認することをおすすめします。
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