国民健康保険料は原則として世帯主に課されるものですが、世帯内に支払い能力のある者がいても実際に保険料が支払われない場合、医療を受ける側にとって大きな問題になります。特に障害や経済的困難を抱える場合、自分ではどうすることもできないケースも少なくありません。本記事では、保険料が支払われない状況下での対処法と相談先について詳しく解説します。
国民健康保険の保険料は誰が支払うべき?
国民健康保険料は基本的に「世帯主」に請求されます。たとえ世帯主本人が保険に加入していなくても、同じ世帯に保険加入者がいれば、その世帯主に納付義務が生じます。
したがって、本人が保険料を支払う意思がない場合でも、他の家族が加入していれば、その影響を直接受けてしまいます。今回のように父親が支払わないことで、娘さんが保険証を使えない状態に置かれてしまうのは、その典型例です。
期限切れ保険証が使えない理由と医療費への影響
保険料未納が続くと、保険証が交付されない・または使用停止になることがあります。医療機関では「保険証の提示」が求められるため、期限切れの保険証では自己負担が10割になります。
とはいえ、保険の資格そのものが失われているわけではないため、後から保険料を納めて保険証を再発行すれば、差額分の払い戻し(償還払い)を申請できるケースもあります。
保険料を支払えない・支払ってもらえないときの相談先
自分で保険料の管理や納付ができない状況で、家族の協力も得られない場合には、以下の相談先を活用しましょう。
- 市区町村の国民健康保険窓口:滞納による保険証の停止や再交付について直接相談できます。
- 地域包括支援センター:高齢者や障害者を支援する機関で、家庭内の支援体制や金銭管理についてアドバイスが可能です。
- 福祉課や生活支援窓口:障害手帳保持者向けの支援制度や、生活困窮者支援の相談ができます。
また、厚生労働省の公式サイトでは、各市町村の相談窓口情報が掲載されています。
ヘルパー・支援者にできることと限界
訪問介護などのヘルパーさんには、契約外の金銭管理や支払い代行などはできません。しかし、状況を把握した上で、適切な公的窓口につないでくれることはあります。
「困っていることがある」「保険料の未納で困っている」といった情報を伝えることで、ケアマネジャーや支援者が市役所との橋渡し役を担ってくれることがあります。
成年後見制度など法的支援も視野に
家族が経済的にルーズだったり、合理的な判断が難しい状況で支払いの責任が果たせない場合、成年後見制度などを通じて第三者による財産管理を検討することも有効です。
特に、父親がアスペルガー症候群と診断されており、金銭管理に不安がある場合には、家庭裁判所へ後見人選任の申し立てを行うことができます。地域包括支援センターや市の高齢福祉課がサポートしてくれる場合もあります。
まとめ:あきらめず、支援制度を頼ろう
家族が保険料を支払ってくれないことで、自分の医療が受けられなくなる事態は深刻です。しかし、自分一人で解決しようとせず、地域の福祉窓口や支援者に早めに相談することで、解決の糸口が見つかることも多いです。
保険証の再交付、支払い計画の相談、生活支援制度の利用、成年後見制度の活用など、制度を知って動くことが、安心して医療を受ける第一歩になります。
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