突然の雹(ひょう)による車の損傷──修理は保険で対応できるとしても、売却時に価値が下がってしまう“価格落ち”はどうなるのか。車両保険でカバーできる範囲なのか、弁護士を入れて請求すべきか、判断に迷う方も多いはずです。この記事では雹害と価格落ちの関係、そして補償の実態や対応方法について詳しく解説します。
「価格落ち」とは何か?
「価格落ち(格落ち)」とは、修理歴があることにより、車の査定価値が下がることを指します。たとえ見た目に修復跡が残っていなくても、「事故歴あり」と判断されることで将来の下取りや売却価格に影響を与えることがあります。
特にボンネットや屋根、ドアなどに雹害が集中した場合、交換や板金修理の履歴が残り、価格落ちのリスクが高まります。
車両保険で「価格落ち」はカバーされるのか?
結論から言えば、一般的な車両保険では価格落ちは補償対象外です。保険金は、修理実費や時価額限度内での損害補填が基本となっており、「将来的な市場価値の低下」に対する補償は契約内容に含まれていないのが通常です。
これは、自然災害による損害(雹害や台風など)でも同様で、修理費が全額保険から出る場合でも、修理後の価値下落までは補償されません。
例外的に請求できる可能性のあるケース
民間の一部の高額車両保険プランや特約には、「評価損(価格落ち)」を補償する特約がある場合があります。しかしこれは極めて限定的です。また、事故の相手が存在する「被害事故」では加害者側の対物賠償保険で請求できる場合があります。
一方、雹害のような自然災害は「加害者不在」のため、評価損請求を第三者に行うことができず、保険での補填は現実的に難しいといえます。
価格落ちに対してできる現実的な対応
では、価格落ちによる損失を少しでも回避・軽減するにはどうすればよいのでしょうか?以下のような対処法があります。
- 修理は正規ディーラーや信頼ある業者に依頼:適切な修理履歴が残れば査定で不利になりにくい
- 修復歴が残らない軽度な損傷の場合は様子を見る:無理に修理せず価格への影響を抑える選択も
- 事故車買取専門業者を利用:格落ち車でも高値がつく可能性あり
また、今後のリスクに備えたい方は、「評価損特約」付きの保険に切り替えることも選択肢です。
弁護士を入れて価格落ちを請求できるのか?
弁護士を入れることで価格落ちを請求するケースは、加害者がいる事故で相手方の保険会社に対して行う場合が一般的です。雹害のような自然災害では相手が存在せず、訴訟を起こす相手もいないため、弁護士介入によって価格落ち分を保険会社に請求するのは非常に難しいのが現状です。
ただし、保険会社が本来支払うべき修理費用の範囲で揉めた場合などには、弁護士相談が有効となるケースもあります。
まとめ
雹害による価格落ちは、多くの車両保険において補償対象外です。自然災害で加害者が存在しない以上、価格落ち分の請求は原則困難です。とはいえ、修理の仕方や車の売却先を工夫することで損失を最小限に抑えることは可能です。価格落ちリスクが心配な方は、今後のために特約や専門買取サービスの活用を検討してみましょう。
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