扶養範囲内でのパート勤務をしている方にとって、収入が月88,000円を超えるかどうかは非常に重要な分岐点です。とくにダブルワークをしている場合、合算でこのラインを超えることで社会保険の加入義務が発生したり、配偶者の扶養から外れたりする可能性があります。本記事では、パート勤務者が直面しやすい税金や年金、社会保険の変化について具体的に解説します。
社会保険の加入条件と「月88,000円」の意味
月収88,000円は社会保険加入のボーダーラインです。これは「週20時間以上の勤務」などの条件とあわせて、企業規模(従業員101人以上など)によって判断されます。
A社が従業員1万人規模で、週21.25時間勤務であれば、A社での勤務のみでも社会保険加入対象となるため、すでに厚生年金と健康保険に加入済みであることが推察されます。
パートの合算収入が影響するものとは?
合算収入が88,000円を超えても、社会保険加入は勤務先単位で判断されます。つまり、B社は従業員が少数で週4時間勤務のため、保険加入義務はありません。
ただし、A社での勤務が保険加入条件を満たしている場合、たとえB社を足して88,000円を超えていなくても、社会保険料はA社給与から引かれ続けることになります。
第3号被保険者からの脱退について
社会保険に加入することで、あなたの年金区分は「第3号被保険者」から「第2号被保険者」に自動的に変更されます。これにより、
- 配偶者の扶養から外れる
- 自分自身で厚生年金・健康保険料を支払う
といった変化が生じます。このため、保険料の負担は増えるものの、将来的な年金受取額も増加するメリットがあります。
年収130万円超で起こること
年間6ヶ月間だけ収入が88,000円を超えても、年間で130万円を超えなければ健康保険の扶養対象であるケースもあります。しかし、社会保険加入後はこの「130万円の壁」は意味を持たなくなる可能性も。
また、住民税・所得税の課税対象となるのは、年間103万円(所得税)・100万円(住民税)を超えたタイミングです。ダブルワークによって年間収入がこのラインを超えると、課税の可能性があります。
今後の税金と年金の変化への対処法
以下の点を意識して働き方を見直すと安心です。
- 社会保険料の負担が可能かどうかを月収と比較
- 住民税・所得税が発生するラインを意識した勤務調整
- 勤務先の就業規則(社会保険加入ルール)を確認
- 配偶者の所得税控除(配偶者控除・配偶者特別控除)への影響も考慮
もし年間の合算収入が6ヶ月間だけ88,000円を超えても、A社で社会保険に加入済みであれば、すでに第2号被保険者となっている可能性が高いため、扶養に戻すには一定期間収入を下げる必要があります。
まとめ:収入ラインを超えたら保険と税金の仕組みを正しく理解しよう
パートのダブルワークで月収88,000円を超えると、社会保険や扶養区分、税金に影響が出てきます。とくにA社での社会保険加入が始まっていれば、今後は自分で年金と健康保険料を支払う形になります。
制度を正しく理解し、損をしない働き方を選ぶことが、今後の家計にも安心につながります。税理士や社会保険労務士への相談も選択肢としておすすめです。
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