60歳から老齢年金の受給を始めるという選択には、不安や感慨深さが入り混じるものです。ご家族の状況や体調の変化を経て迎える人生の節目に、年金事務所での手続きを控える方へ向けて、必要な情報と心構えをお届けします。
60歳で年金を繰り上げ受給するという選択
老齢基礎年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳から繰り上げて受け取ることも可能です。その場合、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%(2022年4月以降の繰上げは0.4%)ずつ年金額が減額されます。
例えば60歳ちょうどから受け取ると、最大で24%程度の減額となります。この減額は一生続きますが、「早めに現金が必要」「働けない状態が続いている」など事情により合理的な判断といえる場合もあります。
年金事務所での手続きに必要なもの
年金事務所で年金受給の手続きを行う際は、以下のものを持参するのが一般的です。
- 年金手帳(基礎年金番号通知書)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 銀行口座の通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印でも可)
- 繰上げ受給の申請書類(案内が届いている場合)
予約をしていれば、窓口でスムーズに案内されます。案内の手紙や封筒ごと持参しておくと安心です。
手続き時の注意点と確認しておきたいこと
繰上げ受給を選ぶと、後から変更できません。受給開始後に障害年金や遺族年金との調整が発生する場合、支給額に影響を及ぼす可能性もあります。
また、配偶者が将来加給年金を受け取れる条件に該当する場合、繰上げ受給を選択すると加給年金がもらえなくなる可能性があるため、事前に相談員と確認しましょう。
月額7万5000円の年金で考える生活設計
月額約7万5000円の年金収入は、単身世帯の生活保護基準に近い水準です。家賃や医療費を含めた出費に備え、節約や地域の支援制度の活用が鍵となります。
例えば自治体によっては、一定収入以下の高齢者に対して公共交通割引や医療費補助が用意されている場合があります。年金生活に不安がある場合は、地域包括支援センターや社会福祉協議会などに相談してみるとよいでしょう。
心の準備と無理をしない日常の工夫
人生の節目として年金を受け取るという経験は、誰しも少なからず感情の動きがあります。緊張や不安を感じることは自然なことです。
当日は、時間に余裕を持ち、必要書類を整理して、わからないことは職員に尋ねながら進めてください。水分補給や休憩も意識して、体調を崩さないように気を配ることも大切です。
まとめ
60歳からの繰上げ受給は慎重な判断を要しますが、ご自身の状況やライフスタイルに合わせた選択であれば、安心してその道を歩めます。年金事務所での手続きには必要な書類をしっかり確認し、不安なことは遠慮せず相談員に聞くことでスムーズに進められます。これからの生活に向け、少しずつでも準備と心構えを整えていきましょう。
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