手取り月10万円の仕事を30年続けた場合、老齢厚生年金はいくらもらえる?将来の受給額を具体的に試算

年金

老後の生活を考える上で、年金はいちばん身近な公的保障のひとつです。中でも「手取り月10万円程度の仕事を長期間続けた場合、老齢厚生年金はどれくらいになるのか?」という疑問は、パートや非正規雇用で働く方にとって現実的で切実なテーマでしょう。この記事では、具体的な給与水準と就労年数をもとに、年金受給額の目安をわかりやすく解説します。

老齢厚生年金と老齢基礎年金の違いを確認

公的年金制度は「2階建て構造」と言われています。

  • 1階部分:老齢基礎年金(国民年金)…日本に住むすべての人が加入
  • 2階部分:老齢厚生年金…会社員や公務員など、給与から保険料を天引きされている人が対象

つまり、会社員で30年間厚生年金に加入していれば、基礎年金に加えて厚生年金が上乗せされる仕組みです。

「手取り10万円」は額面いくら?年収換算で計算

年金額を試算するには「標準報酬月額(=額面給与)」が重要です。手取り10万円の場合、社会保険料と税金を差し引いて考えると、額面はおおよそ13万円〜14万円前後と推定できます。

ここでは標準報酬月額「14万円」と仮定し、30年間(360ヶ月)厚生年金に加入した場合で試算します。

老齢厚生年金の簡易試算式

厚生年金の支給額は以下のような計算式で求められます。

老齢厚生年金 = 平均標準報酬 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数

これに基づき、以下のように計算します。

  • 標準報酬月額:14万円
  • 加入月数:360ヶ月

計算式:14万円 × 5.481 ÷ 1000 × 360ヶ月 = 約275,407円(年額)

月額換算すると約22,950円です。これが、老齢厚生年金の部分です。

老齢基礎年金を加えた合計額

仮に、国民年金(基礎年金)の満額(2024年度:年額約795,000円)を受給できるとすれば、次のような合計額になります。

  • 老齢基礎年金:795,000円
  • 老齢厚生年金:約275,000円

合計:1,070,000円/年(月額約89,000円)

つまり、月あたりの受給額はおおよそ8万9,000円程度と推定できます。

実際の年金額は加入状況や収入推移で変わる

ただし、実際の年金額は以下のような要因で上下します。

  • 20歳〜60歳までのうち、どの期間が厚生年金か
  • 標準報酬月額が毎年どれくらい変動したか
  • 扶養家族や障害年金、加給年金などの加算要素

標準報酬月額が10万円台で一定であったとしても、年金見込額は「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認するのが最も正確です。

生活できる?足りない?老後の生活費とのギャップ

総務省の統計によれば、高齢単身世帯の平均支出はおおよそ月13万円〜15万円程度。仮に年金が月9万円程度だとすると、毎月4万円〜6万円の赤字が発生する計算になります。

この差を埋めるために、以下のような準備が必要です。

  • つみたてNISAやiDeCoでの資産形成
  • 退職後の再雇用やパート収入
  • 家賃・固定費の見直し

月9万円の年金は「生活の最低ラインを支えるための基礎」として考え、不足分をどうカバーするかが老後資金計画のカギです。

まとめ:手取り10万円でも30年働けば月9万円程度の年金に

手取り月10万円の仕事を30年間続けた場合、65歳時点で受け取れる公的年金(厚生年金+基礎年金)は、おおよそ月額89,000円程度が目安となります。

老後を見据えて、年金以外の収入源や生活費の見直しを今から始めておくことが大切です。まずは「ねんきんネット」や市区町村の年金相談窓口で、ご自身の将来の年金額を確認してみましょう。

ねんきんネット|日本年金機構

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